【基本情報技術者試験】補助記憶装置の特徴と種類を徹底解説!HDDからクラウドまで

oufmoui

パソコンやスマートフォンで使用する写真、動画、アプリなどのデータは「補助記憶装置」に保存されています。

基本情報技術者試験では、補助記憶装置の特徴や動作原理に関する問題が頻出です。

本記事では、初心者でも理解できるように、補助記憶装置の基礎から最新技術まで、図解や具体例を交えて丁寧に解説します。試験対策に役立つポイントも詳しく紹介していきます。

補助記憶装置とは

補助記憶装置は、主記憶装置(メインメモリ)とは異なり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリです。データを長期間保存するための装置として、様々な種類があります。

主な特徴

  • データの永続的な保存が可能
  • 大容量のデータを格納できる
  • 主記憶装置と比べて低コスト
  • アクセス速度は主記憶装置より遅い

基本情報技術者試験では、これらの特徴を理解し、各種補助記憶装置の比較ができるようになることが重要です。

磁気ディスク装置の仕組み

ハードディスクドライブ(HDD)の構造

HDDは、磁性体を塗布した円盤(プラッタ)に磁気ヘッドでデータを読み書きする装置です。プラッタの表面は、高い精度で平滑に加工されており、わずかな凹凸も許されません。また、高速回転による振動を抑制するために、プラッタは硬い素材で作られています。

主な構成部品は以下の通りです:

  • プラッタ:データを記録する円盤
  • 磁気ヘッド:データの読み書きを行う部品
  • ヘッドアーム:磁気ヘッドを移動させる機構
  • スピンドルモーター:プラッタを回転させる部品

特筆すべき点として、ノートパソコンなどに搭載される2.5インチHDDでは、ヘッドクラッシュのリスクを軽減するために、動作していないときはヘッドを「退避領域」に移動させる機構が備わっています。加速度センサーを搭載し、振動を検知して自動的にヘッドを退避させる機能を持つHDDもあります。

HDDの記憶容量計算

基本情報技術者試験では、HDDの記憶容量計算が出題されることがあります。

計算式は以下の通りです。

記憶容量 = シリンダ数 × 1シリンダあたりのトラック数 × 1トラックあたりのセクタ数 × 1セクタあたりのバイト数

例えば、以下のような仕様のHDDの場合、

  • シリンダ数:1,500
  • 1シリンダあたりのトラック数:20
  • 1トラックあたりのセクタ数:40
  • 1セクタあたりのバイト数:512バイト

計算すると:1,500 × 20 × 40 × 512 = 614,400,000バイト(約614MB)となります。

試験では、この計算式を用いた問題が出題されることがあるため、しっかりと理解しておく必要があります。

SSDのメカニズム

SSDの基本構造

SSDは半導体メモリを使用してデータを記録する装置です。HDDとは異なり、可動部分がないため、高速で衝撃や振動に強いという特徴があります。

主な構成部品:

  • フラッシュメモリ:データを記憶する半導体素子
  • コントローラ:データの読み書きを制御する部品

SSDのコントローラは、ウェアレベリングと呼ばれる技術を用いて、書き込み操作をフラッシュメモリセル全体に均等に分散させることで、寿命を延ばす工夫がされています。

HDDとSSDの比較

HDDとSSDの主な違いを以下の表で比較しました。

SSDはHDDと比較して高速で耐久性に優れていますが、大容量の製品では価格が高くなる傾向があることがわかります。一方、HDDは大容量のデータ保存に適していますが、機械的な動作部品があるため、衝撃に弱く、消費電力も高くなります。用途や予算に応じて、適切なストレージを選択することが重要です。

特徴HDDSSD
データ記録方式磁気ディスクに記録フラッシュメモリに記録
読み書き速度遅い (30〜150 Mbps)速い (500 Mbps以上)
起動・アクセス時間遅い速い
耐衝撃性弱い強い
静音性動作音ありほぼ無音
消費電力高い低い
発熱多い少ない
大容量の価格安い高い
一般的な容量1TB〜8TB128GB〜1TB
寿命平均3〜4年平均5年以上

基本情報技術者試験では、これらの違いを理解し、用途に応じた適切な選択ができることが求められます。

光ディスク装置の種類と特徴

CD/DVD/ブルーレイの違い

光ディスク装置は、レーザー光を用いてデータを読み書きする装置です。長期保存に適しており、磁気ディスクに比べてデータの寿命が長いという特徴があります。それぞれの特徴と容量を解説します:

CD

  • 容量:約700MB
  • 用途:音楽、データ保存
  • 種類:
  • CD-ROM:読み取り専用
  • CD-R:1回だけ書き込み可能
  • CD-RW:繰り返し書き込み可能

DVD

  • 容量:片面1層4.7GB、両面2層17GB
  • 用途:動画、大容量データ
  • 種類:
  • DVD-ROM:読み取り専用
  • DVD-R:1回だけ書き込み可能
  • DVD-RW:繰り返し書き込み可能

ブルーレイディスク

  • 容量:片面1層25GB、両面2層50GB
  • BD-XL:3層100GB、4層128GB
  • 用途:高画質映像、大容量データバックアップ

記録密度の違いは、ディスク上のトラックピッチ(トラック間の距離)と使用するレーザーの波長に関係しています。ブルーレイディスクは、青紫色のレーザーを使用することで、DVDよりも狭いトラックピッチを実現し、高密度記録を可能にしています。

その他の補助記憶装置

USBメモリの特徴

USBメモリは、フラッシュメモリを使用した小型の補助記憶装置です。以下の特徴があります:

  • 携帯性に優れる
  • プラグアンドプレイ対応
  • USB規格により転送速度が異なる(USB3.0は最大10Gbps)
  • 寿命は約3年
  • ウイルス感染リスクに注意が必要

ファイルシステムの種類:

  • FAT32:小容量向け
  • exFAT:大容量向け
  • NTFS:Windowsでの使用に適する

SDカードの種類と用途

容量による分類

SDカードの容量による分類を表にまとめました。

SDカードを選ぶ際は、使用する機器の対応規格を確認することが重要です。最新の大容量カードは、古い機器では認識されない場合があります。

規格名容量範囲ファイルシステム
SD〜2GBFAT12, FAT16
SDHC4GB〜32GBFAT32
SDXC64GB〜2TBexFAT
SDUC2TB〜128TBexFAT
注意点
  • この分類はSDカードとmicroSDカードの両方に適用されます。
  • SDUCは比較的新しい規格で、現時点では一般的に普及していません。
  • 各規格は下位互換性があります。例えば、SDXC対応機器はSDHCやSDカードも使用できます。
  • 実際の使用可能容量は、表示容量よりも若干少なくなります。

スピードクラス

SDカードのスピードクラスを表にまとめました。

スピードクラス最低保証速度主な用途
Class 22MB/秒標準的な解像度の動画撮影
Class 44MB/秒標準的な解像度の動画撮影
Class 66MB/秒HD動画撮影
Class 1010MB/秒フルHD動画撮影、連写
UHS-I (U1)10MB/秒フルHD動画撮影、連写
UHS-I (U3)30MB/秒4K動画撮影、高速連写
V66MB/秒HD動画撮影
V1010MB/秒フルHD動画撮影
V3030MB/秒4K動画撮影
V6060MB/秒8K動画撮影
V9090MB/秒8K動画撮影、プロ用途
注意点

  • UHSスピードクラスは、SDカードと使用機器の両方がUHS対応である必要があります。
  • ビデオスピードクラス(V6〜V90)は、長時間の連続録画に対応した規格です。
  • 実際の性能は、使用する機器やカードの製造元によって異なる場合があります。

用途別の選び方

以下の表は、SDカードの用途別選び方をまとめたものです:

用途推奨容量推奨スピードクラス備考
写真撮影64GB〜128GBClass 10以上、UHS-I連写や高画素撮影に適している
動画撮影128GB以上UHS-I、V30以上4K動画撮影には高速・大容量が必要
スマートフォン32GB〜128GBClass 10、UHS-Iアプリやメディアファイルの保存に
ドライブレコーダー32GB〜64GBClass 10常時録画に適した耐久性が重要
ゲーム機128GB〜256GBUHS-Iゲームデータやダウンロードコンテンツの保存に
デジタルオーディオ32GB〜128GBClass 4以上音楽ファイルの保存に十分
バックアップ用256GB以上UHS-I大容量データの保存に適している
注意点
  • 使用する機器の対応規格を必ず確認してください。
  • 高速なSDカードを使用しても、機器側が対応していないと性能を活かせません。
  • 重要なデータは定期的にバックアップを取ることをおすすめします。
  • この表は一般的な目安であり、具体的な使用状況や個人の好みによって最適な選択は異なる場合があります。

最新技術動向

RAID技術

RAIDは複数のディスクを組み合わせて使用する技術です。データの冗長化や高速化、大容量化などを実現するために使用されます。

RAIDレベル最小ディスク数耐障害性読み取り性能書き込み性能容量効率特徴
RAID 02なし非常に高い非常に高い100%データを分散して高速化するが冗長性なし
RAID 121台故障まで高い中程度50%データを完全にミラーリングし高い信頼性
RAID 531台故障まで高い中程度67%-94%パリティ分散による冗長性と容量効率のバランス
RAID 642台故障まで高い低い-中程度50%-88%二重パリティによる高い冗長性
RAID 104各ミラーセットで1台非常に高い高い50%RAID 1とRAID 0の組み合わせで高速かつ冗長

注意点:

  • 性能と容量効率は、ディスク数やワークロードによって変動する場合があります。
  • RAID 5と6は、大容量ディスクを使用する場合、リビルド時間が長くなる傾向があります。
  • 実際の選択は、データの重要性、必要な性能、コスト、管理の容易さなどを考慮して行う必要があります。

クラウドストレージの活用

クラウドストレージとは、インターネットを介してデータを保存・管理するサービスです。

従来のオンプレミス型のストレージとは異なり、物理的なサーバーやハードディスクを自社で管理する必要がなく、クラウドサービスプロバイダーが提供するリモートサーバー上にデータを保存します。

オンプレミスストレージ

オンプレミスストレージとは、企業が自社内にサーバーやハードウェア、ソフトウェアを所有し、管理・運用するデータストレージの形態です。

  • 自社でハードウェアとソフトウェアを調達し、所有する
  • 社内のサーバールームやデータセンターに物理的に設置
  • 企業が独自にシステムを構築・運用・管理する

クラウドストレージとオンプレミスストレージの主な違い

特徴クラウドストレージオンプレミスストレージ
初期コスト低い(初期投資がほとんど不要)高い(サーバー、機器購入費用が必要)
ランニングコスト使用量に応じた従量課金制電気代、保守費用などが継続的に発生
スケーラビリティ柔軟に容量拡張・縮小が可能拡張に時間とコストがかかる
アクセシビリティインターネット経由でどこからでもアクセス可能主に社内ネットワークからのアクセスに限定
セキュリティプロバイダーによる対策、データ暗号化自社管理下で高度なセキュリティ設定が可能
カスタマイズ性プロバイダーの提供範囲内で制限あり自社要件に合わせて自由にカスタマイズ可能
運用・保守プロバイダーが対応、専門家不要自社で対応、専門知識を持つ人材が必要
災害対策自動バックアップ、地理的分散が容易自社で対策を講じる必要がある
パフォーマンスインターネット回線に依存社内ネットワークで高速アクセス可能
導入スピード即時利用開始可能インフラ整備に時間がかかる

クラウドストレージのメリット

  • どこからでもアクセス可能
  • 自動バックアップ機能
  • データ共有が容易
  • 運用コストの削減
  • スケーラブルな容量拡張

クラウドストレージのデメリット

  • インターネットの接続に依存
  • 情報漏洩やハッキングのリスク
  • ユーザーのカスタマイズに制限
  • 長期的にランニングコストが高くなる可能性
  • サービスの移行が難しい
  • データの保存場所(国)の法律抵触に注意が必要

主なクラウドストレージサービス

サービス名無料容量有料プラン容量特徴
Google Drive15GB100GB〜Googleアプリとの連携が優れている
OneDrive5GB100GB〜Microsoft製品との相性が良い
Dropbox2GB2TB〜マルチデバイス対応、古いバージョンの文書復元可能
iCloud5GB50GB〜Apple製品との連携が優れている
Amazon Drive5GB100GB〜Amazonプライム会員向けのフォトストレージが無制限
pCloud10GB500GB〜買い切りプランあり、仮想ドライブ方式を採用
MEGA20GB400GB〜エンドツーエンド暗号化によるセキュリティ重視
Box10GB100GB〜ビジネス向け機能が充実、権限設定やログ監視が可能
DirectCloud-BOX100GB〜法人向け、ユーザー数無制限で月額定額制
InfiniCLOUD20GB300GB〜国内データセンター利用、アップロードサイズ無制限

これらのサービスは、個人用途から企業向けまで幅広いニーズに対応しており、それぞれに特徴があります。利用目的、必要な容量、セキュリティ要件、連携したいアプリケーションなどを考慮して、最適なサービスを選択することが重要です。

容量無制限プランは難しい?

以下の表は、過去にサービスを終了した容量無制限のクラウドストレージサービスをまとめたものです。

これらのサービスは、主に経済的な理由や悪用の増加により、容量無制限のプランを持続できなくなったことが終了の背景にあります。クラウドストレージ業界全体で、無制限プランの提供が困難になってきている傾向が見られます。

サービス名終了年備考
Amazon Drive2017米国で終了、日本では2017年11月に終了
Google Drive (G Suite)2020Google Workspaceへの移行で無制限プラン廃止
Microsoft OneDrive2015Office 365ユーザー向け無制限プランを1TBに制限
Bitcasa2014容量無制限プラン終了、1TBと10TBプランに変更
CrashPlan2017個人向け無制限バックアッププラン終了
Mozy2011無制限プランを終了し、容量制限付きプランに移行
Dropbox Advanced2023企業向け無制限プランを従量制に変更
Upline2008サービス開始からわずか9日で停止

セキュリティ対策

  • データの暗号化
  • アクセス権限の設定
  • 多要素認証の導入
  • 定期的なバックアップ
  • セキュリティポリシーの策定

試験対策のポイント

頻出分野

  • HDD/SSDの特徴比較と適切な使い分け
  • 記憶容量の計算(特にHDDの容量計算)
  • RAID構成の理解とレベルごとの特徴
  • 各種性能指標の把握
  • 光ディスクの種類と特徴の違い
  • 最新技術動向の理解

練習問題

Q
次のうち、HDDに比べてSSDの特徴として正しいものはどれか。

a) 価格が安い
b) アクセス速度が遅い
c) 衝撃に強い
d) データの書き換え回数に制限がない

正解:c)
解説:SSDは可動部分がないため衝撃に強く、アクセス速度も速いですが、価格は高く、データの書き換え回数には制限があります。基本情報技術者試験では、HDDとSSDの特徴の比較が頻出のため、それぞれの長所・短所をしっかり理解しておく必要があります。

Q
問題:記憶容量が32GBのメモリカードは、どの規格に該当するか。
a) SD
b) SDHC
c) SDXC
d) どちらにも該当する

正解:b)
解説:SDHCは2GB~32GBの容量範囲をカバーする規格です。32GBはちょうどSDHCの上限にあたります。SDは最大2GB、SDXCは32GB~2TBの範囲となります。実務でもよく使用される規格のため、容量の範囲は覚えておきましょう。

Q
問題:RAIDについて、正しい説明はどれか。
a) RAID 0は信頼性を重視した方式である
b) RAID 1は3台以上のディスクが必要である
c) RAID 5はパリティ情報を使用する
d) RAID 6は単一のパリティ情報のみを使用する

正解:c)
解説:RAID 5はパリティ情報を使用して冗長化を実現します。RAID 0は性能重視でストライピングを行い、RAID 1は2台のディスクでミラーリング、RAID 6は二重パリティを使用します。RAIDの各レベルの特徴は試験でよく問われる分野です。

まとめ

補助記憶装置は、コンピュータシステムに不可欠な要素であり、基本情報技術者試験でも重要な出題分野です。

本記事で解説した以下のポイントを重点的に復習しましょう。

  • 補助記憶装置の基本的な特徴と役割
  • HDDとSSDの構造や特徴の違い
  • 光ディスク装置の種類と記録密度の違い
  • USBメモリやSDカードの特徴と選び方
  • RAIDの各レベルの特徴と用途
  • クラウドストレージの活用とセキュリティ

特に、HDDの記憶容量計算やRAIDの仕組みは、実践的な問題として出題されることが多いため、練習問題を解きながら理解を深めていくことをお勧めします。また、技術の進歩が速い分野であるため、最新の技術動向にも注目しておくことが重要です。

以上で、補助記憶装置に関する解説を終わります。この記事で学んだ内容を活かして、基本情報技術者試験の学習を進めていってください。

ABOUT ME
まけまけ
まけまけ
フルスタックエンジニア
会社の研修でpythonを勉強し始めました。
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