パソコンの基礎知識:バスと入出力デバイスの仕組みを完全解説【基本情報技術者試験対策】
この記事では、基本情報技術者試験の学習者に向けて、パソコンの仕組みを理解する上で重要な「バスと入出力デバイス」について解説します。バスの種類、入出力デバイスの役割、デバイスドライバの重要性などを、初心者にもわかりやすく説明していきます。具体的には、PCIエクスプレス、USB、SCSIといったバスの種類、それぞれの速度や用途、シリアル通信とパラレル通信の違い、さらには、赤外線通信や近距離無線通信などの無線通信規格についても解説していきます。
この記事を読むことで、バスと入出力デバイスに関する基本的な知識を習得し、基本情報技術者試験の合格に一歩近づくことができます。ぜひ最後まで読んで、理解を深めてください。
バスとは
バスとは、コンピュータ内部でデータをやり取りするための「データの通り道」のことです。ちょうど、多くの人が乗り降りする路線バスのように、CPU、メモリ、入出力デバイスなどの様々な装置がバスを介してデータの送受信を行います。
バスには、大きく分けて内部バスと外部バスの2種類があります。
内部バス: CPU、メモリ、チップセットなど、コンピュータ内部の主要な部品を接続するためのバスです。
外部バス: 入出力デバイスなどを接続するためのバスです。PCIエクスプレスやUSBなどが代表的な外部バスです。
バスの概念は、コンピュータ内部のアーキテクチャだけでなく、ネットワークのアーキテクチャにも見られます。ネットワークトポロジーにおいて、複数の機器(ノード)が1つのバスを共有して接続される構造は「バス型」と呼ばれます。
入出力デバイスとは
入出力デバイスとは、パソコンと私たち人間との間で情報のやり取りを行うための装置です。キーボードやマウスで文字や指示を入力したり、ディスプレイやプリンタで文字や画像を出力したりする際に、これらの入出力デバイスが活躍します。
入出力デバイスは、入力デバイスと出力デバイスに分けられます。
入力デバイス: キーボード、マウス、タッチパネル、スキャナ、マイクなど
出力デバイス: ディスプレイ、プリンタ、スピーカー、プロジェクターなど
代表的なバスの種類
PCIエクスプレス
PCIエクスプレスは、現在主流となっている高速なシリアルインターフェースです。グラフィックボードや高速なSSDなど、拡張スロットに接続するデバイスで広く利用されています。PCIエクスプレスは、シリアル転送方式を採用することで、従来のPCIバスよりも高速なデータ転送を実現しています。
PCIエクスプレスの転送速度は世代によって異なり、PCIエクスプレス1.1では1レーンあたり500MB/s、PCIエクスプレス2.0では1GB/s、PCIエクスプレス3.0では2GB/sとなっています。PCIエクスプレス第4世代では、第3世代の2倍の帯域幅を提供し、最大32GB/sの転送速度を実現しています。このように、PCIエクスプレスは世代を重ねるごとに高速化が進んでいます。
シリアルインターフェースとパラレルインターフェース
データの送受信方式には、シリアル方式とパラレル方式があります。
シリアルインターフェース: データを1ビットずつ順番に送受信する方式です。USBやRS-232C、シリアルATAなどがシリアルインターフェースの例です。
パラレルインターフェース: 複数ビットのデータを同時に送受信する方式です。従来のプリンタポートなどで使われていました。
シリアルインターフェースは、パラレルインターフェースに比べて、配線数が少なく、ノイズの影響を受けにくいというメリットがあります。また、高速化や長距離伝送にも有利です。さらに、シリアルインターフェースはクロストークの発生を抑え、配線を簡素化できるため、近年ではシリアルインターフェースが主流となっています。
RS-232C
RS-232Cは、シリアルインターフェースの代表例です。昔はモデムやプリンタなどを接続するために広く使われていましたが、現在ではUSBなどに置き換えられ、あまり使われていません。
SCSI
SCSIは、高速なシリアルインターフェースです。サーバーなどでハードディスクを接続するために使われることが多いです。SCSIは、高速なデータ転送速度を重視して開発され、常に高速化が進められています。
SCSIの特徴として、デイジーチェーン接続と呼ばれる方法で複数のデバイスを接続できることが挙げられます。デイジーチェーン接続では、デバイスを数珠つなぎに接続していくことで、1つのSCSIコントローラで複数のデバイスを制御することができます。
Ultra320 SCSIでは、高速化に伴い技術的な問題が発生したため、シリアル転送方式を採用したSAS (シリアル接続SCSI) が開発されました。
USB
USBは、現在最も普及しているシリアルインターフェースの1つです。マウス、キーボード、プリンタ、USBメモリなど、様々な周辺機器を接続するために使われています。
USBには、以下の特徴があります。
ハブ: 1つのUSBポートを複数に増やすことができます。
ホットプラグ: パソコンの電源を入れたままデバイスを接続することができます。
ホットスワップ: パソコンの電源を入れたままデバイスを抜き差しすることができます。
USBの規格は、USB 1.0から始まり、USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1、USB 3.2と進化してきました。最新のUSB4では、最大40Gbpsの転送速度を実現しています。
USBハブには、バスパワーとセルフパワーの2種類があります。バスパワーハブは、パソコンのUSBポートから電源を供給されるのに対し、セルフパワーハブは、ACアダプタから電源を供給されます。
USBは、汎用性が高く、様々なデバイスを接続できる便利なインターフェースですが、伝送距離には制限があります。
その他の主要なインターフェース
- IEEE1394: 高速なシリアルインターフェースです。かつてはデジタルビデオカメラなどを接続するために使われていましたが、現在ではThunderboltやUSBなどに置き換えられ、あまり使われていません。
- Thunderbolt: 非常に高速なシリアルインターフェースです。外付けSSDやディスプレイなどを接続するために使われています。
- シリアルATA: ハードディスクやSSDを接続するためのシリアルインターフェースです。従来のパラレルATAに比べて、高速なデータ転送と、ケーブルの取り回しのしやすさが特徴です。
- HDMI: デジタル映像と音声を伝送するためのインターフェースです。テレビやディスプレイなどを接続するために使われています。
- DisplayPort: HDMIと同様にデジタル映像と音声を伝送するためのインターフェースです。パソコンやディスプレイなどを接続するために使われています。
デバイスの接続形態
デイジーチェーン接続
デイジーチェーン接続とは、複数のデバイスを数珠つなぎに接続する方式です。SCSIなどで用いられます。1つのコントローラで複数のデバイスを制御できるというメリットがあります。
その他の入出力インターフェース
赤外線通信
赤外線通信は、赤外線を利用した無線通信規格です。リモコンなどで使われています。
近距離無線通信
近距離無線通信は、近距離無線通信規格です。マウスやキーボード、ヘッドホンなど、様々なデバイスを無線で接続するために使われています。
近距離無線通信には、様々なプロファイルがあり、それぞれ異なる機能を提供します。例えば、A2DPは音楽再生、AVRCPはオーディオ機器の制御、HFPはハンズフリー通話などに利用されます。
ZigBee
ZigBeeは、低消費電力、低コストの近距離無線通信規格です。ホームオートメーションなどで使われています。
NFC
NFCは、近距離無線通信規格です。電子マネーやデータのやり取りに使われています。
デバイスドライバ
デバイスドライバとは、入出力デバイスをパソコンで利用するために必要なソフトウェアです。OSと入出力デバイスの間の橋渡しをする役割を持ちます。デバイスドライバが正しくインストールされていないと、入出力デバイスを正常に動作させることができません。
練習問題
問題1
次のうち、シリアルインターフェースの規格はどれですか?
- PCI
- AGP
- ISA
- USB
- 回答(解説)はこちら
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【正解】4. USB
USBは、Universal Serial Busの略で、シリアルインターフェースの規格です。他の選択肢は、いずれもパラレルインターフェースの規格です。
問題2
USBハブの役割として正しいものはどれですか?
- データを一時的に保存する
- ネットワークに接続する
- USBポートの数を増やす
- 電源を供給する
- 回答(解説)はこちら
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【正解】3. USBポートの数を増やす
USBハブは、1つのUSBポートを複数に増やすための機器です。
問題3
赤外線通信の特徴として正しいものはどれですか?
- 近距離無線通信規格である
- 赤外線を利用した無線通信規格である
- 有線で接続する規格である
- 主にハードディスクを接続するために利用される
- 回答(解説)はこちら
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【正解】は2. 赤外線を利用した無線通信規格である
赤外線通信は、赤外線を利用した無線通信規格です。主に、リモコンなどで利用されています。
まとめ
この記事では、基本情報技術者試験に向けて、バスと入出力デバイスについて解説しました。バスの種類、入出力デバイスの役割、デバイスドライバの重要性などを理解することは、コンピュータの仕組みを理解する上で非常に重要です。
基本情報技術者試験では、バスや入出力デバイスに関する問題が出題されることがあります。この記事で学んだ内容をしっかり復習し、試験に備えましょう。