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【IPA試験対策】OSI参照モデル完全ガイド|7層の仕組み・TCP/IPとの違い・過去問演習で合格へ

oufmoui

IT関連の勉強をしていて、『OSI参照モデル』という言葉に出会い、『いまいちピンとこない……』と頭を悩ませていませんか?

試験では単なる用語の暗記だけではなく、その仕組みや活用シーンが問われます。せっかく勉強するなら、試験に受かるだけでなく、仕事でも役立つ『一生モノの知識』として身につけたいですよね。

この記事では、CCPAの本質を、分かりやすい例を交えながら解説します。難しい理屈を徹底的に噛み砕き、専門用語を使わずにその正体を解き明かします。

肩の力を抜いて、気楽に読み進めましょう。この記事を読み終える頃には、小難しい専門用語がスッと頭に入り、自信を持って問題に挑めるようになっているはずです。試験合格のその先を見据えた『使える知識』を、日本一分かりやすくお届けします。

用語OSI参照モデル
正式名称Open Systems Interconnection Reference Model
日本語訳開放型システム間相互接続参照モデル
定義異なる機器やシステム間で通信を実現するために、通信機能を物理層・データリンク層・ネットワーク層・トランスポート層・セッション層・プレゼンテーション層・アプリケーション層の7つの階層に分けて標準化した国際標準モデルです。
試験別出題
ITSGFEAP
カテゴリネットワーク
関連用語TCP/IP / 物理層 / データリンク層 / ネットワーク層 / トランスポート層 / プロトコル / ルータ / イーサネット
◎:よく出る ◯:出る △:たまに出る ー:ほぼ出ない

OSI参照モデルとは

OSI参照モデルの基本概念

OSI参照モデル(Open Systems Interconnection Reference Model)は、ネットワーク通信の仕組みを7つの層に分けて説明する国際的な標準モデルです。異なるメーカーのネットワーク機器やソフトウェアが相互に通信できるようにするため、1984年に国際標準化機構(ISO)によって策定されました。

このモデルの最大の特徴は、複雑なネットワーク通信を「層」という概念で整理し、各層が独立した役割を持つことです。下の層は物理的な接続や信号の送受信を担当し、上の層はアプリケーションやデータの処理を担当します。

なぜOSI参照モデルが必要なのか

ネットワーク通信には、インターネット接続から電子メール送受信、ファイル転送など、様々な技術が組み合わさっています。これらの技術を統一的に理解し、トラブルシューティングを効率的に行うため、通信プロセスを階層化して考える必要があります。

OSI参照モデルを使うことで、「今発生している問題は物理層の問題なのか、それともアプリケーション層の問題なのか」といった判断が可能になります。

OSI参照モデルの7つの層

第7層:アプリケーション層

アプリケーション層は、ユーザーが直接使用するソフトウェアやアプリが動作する層です。メールソフト、ウェブブラウザ、ファイル転送ソフトなどがこの層で動作します。

ここで使われる主なプロトコルは以下の通りです。

プロトコル役割
HTTP/HTTPSウェブサイトの閲覧
SMTPメール送信
POP3/IMAPメール受信
FTPファイル転送
DNSドメイン名をIPアドレスに変換

第6層:プレゼンテーション層

プレゼンテーション層は、データを見やすい形に変換・加工する役割を担います。コンピュータ内部のデータ形式と、ネットワークを通じて送受信するデータ形式の変換を行います。

例えば、テキストエディタで日本語の文書を作成してメール送信する場合、文字コードの変換や圧縮、暗号化といった処理がこの層で実行されます。

第5層:セッション層

セッション層は、通信の「開始」と「終了」を管理する層です。2つのコンピュータ間での通信セッション(会話)を確立し、通信中にセッションを保持し、通信終了時にセッションを切断します。

セッション層がなければ、パソコンとサーバー間の「つながり」が保たれず、通信が途中で途切れる可能性があります。

第4層:トランスポート層

トランスポート層は、送信元から宛先への「確実な」データ配送を保証する層です。データを小分けにしてパケットと呼ばれる単位に分割し、宛先に到着したパケットを元に戻す機能を提供します。

この層では主に2つのプロトコルが使われています。

プロトコル特徴
TCP全てのパケットが確実に届くことを保証する。確認応答が必要なため通信は遅くなるが、信頼性が高い。
UDPパケットの到着を保証しない。確認応答が不要なため通信は高速だが、信頼性は低い。

メール送信やファイル転送など「確実さ」が必要な通信ではTCPが、オンラインゲームやビデオ通話など「速さ」が重要な通信ではUDPが使われます。

第3層:ネットワーク層

ネットワーク層は、ネットワーク全体を通じてデータを最適なルート(道筋)で配送する層です。この層で最も重要な仕事は、複数のネットワークをつなぎ、データをIPアドレスを基に目的地まで届けることです。

ルーター(ネットワーク機器)がこの層で動作し、「Aというパソコンから送信されたデータをBというコンピュータに届けるには、どのルートを通すべきか」を判断します。

第2層:データリンク層

データリンク層は、同じネットワーク内(例えば、同じオフィスの中)の機器同士が通信できるようにする層です。この層では、MACアドレスという物理アドレスを使ってデータを送受信します。

スイッチ(ネットワーク機器)がこの層で動作し、ローカルネットワーク内でのデータ転送を制御します。

第1層:物理層

物理層は、ネットワークケーブルや無線電波といった、実際の物理的な媒体を通じてデータを電気信号の形で送受信する層です。ここで初めてデータが「1」と「0」のデジタル信号に変換されます。

ネットワークケーブルの種類、コネクタの規格、信号の波形なども物理層で定義されています。

階層化モデルのメリット

各層の独立性

OSI参照モデルの最大の利点は、各層が独立していることです。例えば、新しいアプリケーション層のプロトコル(メールソフトのバージョンアップなど)を開発しても、物理層のケーブル規格に影響を与えません。逆に、より高速なネットワークケーブルが開発されても、アプリケーションソフトウェアを変更する必要がありません。

トラブルシューティングの効率化

ネットワークが正常に機能していない場合、OSI参照モデルを使うことで問題がどの層で起きているかを特定しやすくなります。例えば「インターネットに接続できない」という問題が発生した場合、物理層から順番に診断することで、原因を素早く見つけられます。

実例で学ぶOSI参照モデル

ウェブサイト閲覧の流れ

パソコンでウェブサイトを見る場合、OSI参照モデルの7つの層が以下のように動作します。

  1. アプリケーション層:ウェブブラウザ(Chrome、Safariなど)がウェブサーバーへのリクエストを生成する。
  2. プレゼンテーション層:データの形式や文字コード(UTF-8など)の確認が行われる。
  3. セッション層:パソコンとウェブサーバー間の通信セッションが確立される。
  4. トランスポート層:データが複数のパケットに分割され、TCPプロトコルが全てのパケットの到着を管理する。
  5. ネットワーク層:IPアドレスを使ってパケットが目的地のウェブサーバーまでのルートが決定される。
  6. データリンク層:パケットがMACアドレスを使ってローカルネットワーク内の次のホップ(中継地点)へ送られる。
  7. 物理層:パケットが電気信号またはラジオ波に変換され、ネットワークケーブルまたは無線電波を通じて送信される。

ウェブサーバー側ではこのプロセスが逆順で行われ、受け取ったパケットが元のウェブページデータに復元されます。

OSI参照モデルとTCP/IPモデルの関係

2つのモデルの違い

実は、現在のインターネット通信で広く使われているのはOSI参照モデルではなく、「TCP/IPモデル」という別のモデルです。TCP/IPモデルは4層構成で、OSI参照モデルより簡潔化されています。

項目OSI参照モデルTCP/IPモデル
層の数7層4層
策定1984年(ISO)1970年代(インターネット開発の実践より生まれた)
用途理論的な学習や標準化実際のインターネット通信
複雑さやや複雑シンプル

なぜOSI参照モデルを学ぶのか

TCP/IPモデルが実際に使われているのに、OSI参照モデルを学ぶ必要があるのでしょうか。それは、OSI参照モデルが「ネットワーク通信の概念を理解する」ための最高の教科書だからです。7つの層に分けることで、通信プロセスがより詳しく、わかりやすく説明できます。

ネットワーク関連の資格試験(情報処理技術者試験など)でも、基礎知識としてOSI参照モデルが出題されます。

OSI参照モデルで誤解しやすいポイント

OSI参照モデルはあくまで「参照」モデルであって、実際には使われていない

OSI参照モデルは1984年にISO(国際標準化機構)によって策定された理論的な標準モデルです。しかし、現実のインターネット通信では、このモデルではなく「TCP/IPモデル」が実際に使われています。

試験勉強をしていると「OSI参照モデルとは何か」を深く理解する必要があるため、あたかもこれが現在のネットワーク通信の基盤であると勘違いしてしまう初学者が多いです。実際には、OSI参照モデルは「ネットワーク通信を学ぶときの教材」「異なる技術を体系的に理解するための枠組み」として存在しています。

「参照モデル」という名前の意味を理解していない

「参照モデル」という言葉は「参考にするモデル」という意味です。つまり、OSI参照モデルは「ネットワーク通信をこのような階層に分けて考えましょう」という提案や指針であって、絶対に守るべき法則ではありません。

そのため、実際のプロトコルやネットワーク機器の動作が、OSI参照モデルに完全に当てはまらないことがあります。これは「モデルが間違っている」のではなく「モデルは参考であり、実装は柔軟である」ということです。

各層が完全に独立していると思い込む

初学者は「各層は独立している」という説明から、各層が完全に分離していると理解しがちです。しかし実際には、各層は上下の層と相互作用し、データを渡したり受け取ったりしています。

例えば、アプリケーション層が生成したデータは、下の層を通って順番に変換・加工されながら、最終的に物理層で電気信号に変換されます。「独立している」とは「各層が独自の役割を果たしている」という意味であって、「各層が全く連携しない」という意味ではありません。

7つの層を「必ず順番に通る」と思い込む

データが通信される際、必ず第1層から第7層まで、すべての層を通るわけではありません。特定の目的の通信では、必要な層だけを経由することもあります。

また、受け取り側ではデータは上から下へ、つまり第7層から第1層へと逆順で処理されます。この双方向性を理解していないと、ネットワーク通信の仕組みを正しく把握できません。

層の番号をすぐに忘れてしまう

OSI参照モデルの7つの層は、試験対策として覚える必要があります。多くの初学者は、順番に覚えるために「物理・データリンク・ネットワーク・トランスポート・セッション・プレゼンテーション・アプリケーション」と機械的に暗記しようとします。

しかし、「なぜこの順番なのか」「各層は何をしているのか」を理解しながら学ぶことで、自然に層の順番も覚えられます。また「下の層ほど物理的で、上の層ほど論理的」という大原則を意識することも、記憶の定着に役立ちます。

ルータやスイッチなどの機器が「何層で動作するのか」を混同する

OSI参照モデルを学ぶ際、「ルータは第3層、スイッチは第2層」というように機器と層の対応を暗記することがあります。しかし、この関係を本質的に理解していないと、応用情報技術者試験のような応用的な問題に対応できません。

「なぜルータは第3層なのか」は「ルータがIPアドレスを使ったルーティングを行うから」という理由で説明できます。「第3層がネットワーク層で、IPアドレスベースの通信を担当する」という原理を理解することが重要です。

混同注意!OSI参照モデルと間違いやすい用語

TCP/IPモデルとの混同

OSI参照モデルとよく混同されるのが「TCP/IPモデル」です。両者の関係と違いを正確に理解することは、試験対策として極めて重要です。

項目OSI参照モデルTCP/IPモデル
層の数7層4層
策定年1984年1970年代
策定機関ISO(国際標準化機構)インターネット実装から生まれた
理論的・実践的理論的で教育的実践的で現在のインターネットに基づいている
実際の使用理論・標準化・教育用現在のインターネット通信で実際に使用
物理層の詳細度詳細に分類簡潔に統合

OSI参照モデルは「教科書的で詳しい」、TCP/IPモデルは「実装的でシンプル」です。試験では「OSI参照モデルを使って説明させる問題」と「実装上の話としてTCP/IPを扱う問題」の両方が出ます。

ネットワーク層(第3層)との混同

「OSI参照モデル」という用語と「ネットワーク層」という用語を混同する初学者がいます。「OSI参照モデル」は7つの層全体を指す概念であり、「ネットワーク層」はそのモデルの中の1つの層(第3層)です。

用語意味具体例
OSI参照モデル通信を7階層に分けた全体的な枠組み物理層~アプリケーション層のすべて
ネットワーク層OSI参照モデルの第3層IP、ルータ、IPアドレス

「OSI参照モデルにおけるネットワーク層」という言い方が正確です。

プロトコルとOSI参照モデルの混同

「HTTP」「TCP」「IP」といった「プロトコル」と「OSI参照モデル」を別の概念として理解していない初学者がいます。

プロトコルは「通信の決まりごと」であり、各層で異なるプロトコルが動作します。一方、OSI参照モデルは「プロトコルを分類・整理するための枠組み」です。つまり、プロトコルはOSI参照モデルの各層に「当てはめられる」ものです。

例えば、HTTPはアプリケーション層(第7層)のプロトコル、IPはネットワーク層(第3層)のプロトコルという関係です。「プロトコルが先にあり、それをOSI参照モデルの層に分類している」という理解が正確です。

物理層と「物理的」との混同

OSI参照モデルの第1層は「物理層」と呼ばれます。初学者の中には、「物理層 = 実際に手で触れられるケーブルなど」という理解をする人がいます。

しかし、OSI参照モデルにおける「物理層」は「電気信号のレベルでのデータ送受信」を扱う層です。ネットワークケーブルは物理層で扱うツールですが、「物理層 = ケーブル」ではなく、「物理層 = デジタル信号と電気信号の変換」と理解する方が正確です。

データリンク層とネットワーク層の混同

「データ」という言葉が両層に関係しているため、初学者は第2層の「データリンク層」と第3層の「ネットワーク層」を混同しやすいです。

正式名称アドレス機器例役割
第2層データリンク層MACアドレススイッチ同じネットワーク内でのデータ転送
第3層ネットワーク層IPアドレスルータ複数のネットワーク間でのデータ転送

「データリンク層」の「リンク」は「ローカルネットワーク内の直接的な接続」を意味します。一方、「ネットワーク層」は「異なるネットワーク間の接続」を意味しています。IPアドレスが出てきたら第3層、MACアドレスが出てきたら第2層と判断する習慣をつけましょう。

セッション層とコネクションの混同

セッション層(第5層)とトランスポート層(第4層)の違いが曖昧なまま、試験に臨む受験者が多くいます。

担当する処理
第4層(トランスポート層)データが確実に目的地に届くかどうかを保証する(TCP/UDP)
第5層(セッション層)2つのコンピュータ間の「会話」がいつ始まり、いつ終わるかを管理する

トランスポート層は「データの配送品質」を扱い、セッション層は「通信の開始・維持・終了」を扱うという区別が重要です。トランスポート層で使われるプロトコルはTCPやUDPですが、セッション層で使われるプロトコルは試験では詳しく問われないことが多いため、この違いが理解しづらくなっています。

プレゼンテーション層の実際の動作が理解できていない

プレゼンテーション層(第6層)は「データの形式や表現を変換する層」と説明されますが、実装上の重要性が低いため、初学者が正確に理解しないまま進むことが多いです。

実際には、プレゼンテーション層では以下のような処理が行われます。これらを実装として意識することは少ないため、「このような層が存在する」という認識だけで十分な場合がほとんどです。

  • 文字コード(UTF-8など)の変換
  • 画像や音声などのデータ圧縮
  • データの暗号化

試験では「プレゼンテーション層は何をする層か」という原理的な問題が出ることはありますが、実装上の詳細は問われません。そのため、「理論的には存在するが、実装上の重要性は低い」という理解で、時間をかけすぎないことをお勧めします。

層の階層構造と「上下」の概念

初学者は「上の層」「下の層」という表現から、物理的な高さを想像しがちです。しかし、OSI参照モデルの「上下」は物理的な位置ではなく、「抽象度の高さ・低さ」を表します。

  • 上の層(第7層に近づくほど):より論理的で、アプリケーション寄り
  • 下の層(第1層に近づくほど):より物理的で、ハードウェア寄り

この「抽象度」の概念を理解することで、各層の役割がより明確になります。

【試験別】出題ポイントと対策

各試験の出題傾向と対策について解説します。受験予定のタブを切り替えて確認しましょう。

IT
SG
FE
AP

ITパスポート試験の出題傾向と対策

ITパスポート試験では、OSI参照モデルの基本的な概念として「7つの階層の名称」「各層の役割」「通信プロトコルとの対応関係」が出題されます。シラバスVer.6.4では通信プロトコルの項目で用語例として7層(物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層)が明記されています。

○○層の役割として適切なものはどれか」という4択問題が典型的です。特にネットワーク層(ルーティング・IPアドレス)データリンク層(MACアドレス・スイッチ)の区別、トランスポート層(TCP/UDP)の役割を問う問題が頻出です。

まず下から3層(物理・データリンク・ネットワーク)アプリケーション層の役割を優先的に暗記しましょう。「IPアドレスは第3層、MACアドレスは第2層」「ルータは第3層、スイッチは第2層」という対応関係を覚えれば、選択肢を絞れます。覚え方として「アプセトネデブ」(アプリケーション・プレゼンテーション・セッション・トランスポート・ネットワーク・データリンク・物理)の語呂合わせが有効です。

情報セキュリティマネジメント試験の出題傾向と対策

情報セキュリティマネジメント試験では、OSI参照モデルの知識を前提として「どの層でセキュリティ対策を行うか」という実践的な視点で出題されます。特にIPsecが第3層(ネットワーク層)で動作すること、TLS/SSLが上位層で暗号化を担当することなど、セキュリティプロトコルと階層の対応が重要です。過去問では平成29年春期問28でIPsecとOSI参照モデルの関係が出題されています。

セキュリティプロトコルがOSI参照モデルのどの層で動作するか」を問う問題が頻出です。IPsec(ネットワーク層)、TLS/SSL(セッション層~プレゼンテーション層)、WPA2/WPA3(データリンク層)などの配置を正確に理解しているかが問われます。

セキュリティ対策は「どの層で防御するか」という多層防御の考え方が重要です。暗号化通信では「IPsecはネットワーク層で全パケットを保護」「TLSはアプリケーション層寄りでHTTPS通信を保護」という使い分けを理解しましょう。VPN接続では第3層(L3VPN)と第2層(L2VPN)の違いも押さえておくと、セキュリティ設計の問題に対応できます。

基本情報技術者試験の出題傾向と対策

基本情報技術者試験では、OSI参照モデルの7層の役割、各層で動作するプロトコル、ネットワーク機器との対応が詳細に出題されます。シラバスVer.9.0では「TCP/IPがOSI基本参照モデルのどの階層の機能を実現しているか」を理解する目標が明記されています。令和3年免除問32のように「物理層・データリンク層・ネットワーク層で中継する装置を順に並べる」といった実践的な問題が頻出です。

ネットワーク機器(ルータ・スイッチ・リピータ)とOSI参照モデルの層の対応プロトコル(TCP・UDP・IP・HTTP)がどの層に属するかカプセル化とヘッダの付加順序を問う問題が頻出です。「MACアドレステーブルを使う装置はどの層か」といった機能ベースの問題も典型的です。

各層で使われる代表的プロトコルとネットワーク機器をセットで暗記しましょう。第1層(リピータ・ハブ)、第2層(スイッチ・ブリッジ/MACアドレス/イーサネット)、第3層(ルータ/IPアドレス/IP)、第4層(TCP・UDP)、第7層(HTTP・SMTP・FTP)という対応を覚えます。カプセル化では「送信時は上から下へヘッダ追加、受信時は下から上へヘッダ削除」という流れを理解し、「アプリケーション→TCP→IP→イーサネット」の順序を押さえましょう。

応用情報技術者試験の出題傾向と対策

応用情報技術者試験では、OSI参照モデルの理論的理解に加えて、TCP/IPとの対応関係、実装上の設計判断、午後問題でのネットワーク構成の分析が求められます。シラバスVer.7.0では「TCP/IPがOSI基本参照モデルのどの階層の機能を実現しているか、その役割は何かを修得し、高度に応用する」と明記されており、単なる知識ではなく実践的応用力が問われます。令和5年春期問34のように「トランスポート層に位置するプロトコル」を即座に判断できる力が必要です。

午前ではプロトコルの層分類(HTTP・ICMP・SMTP・UDPのうちトランスポート層はどれか)、午後問題ではVLAN設計でL2/L3スイッチの動作理解障害切り分けで物理層からアプリケーション層まで順に検証するシナリオが出題されます。設計判断では「どの層で負荷分散を行うか」といったトレードオフも問われます。

午前対策では、OSI参照モデルとTCP/IP階層モデルの対応表を完璧に理解しましょう。OSI 7層に対してTCP/IPは4層(リンク層・インターネット層・トランスポート層・アプリケーション層)であり、どう対応するかが重要です。

午後対策では、ネットワーク構成図を見て「L3スイッチはネットワーク層で動作しVLAN間ルーティングを行う」「L2スイッチはデータリンク層でMACアドレステーブルを参照する」といった実装レベルの理解が必須です。障害切り分けでは「物理層(リンクダウン)→データリンク層(ループ・VLAN設定ミス)→ネットワーク層(経路不達・NAT)→トランスポート層(ポート到達性)→アプリケーション層(認証エラー)」と下から順に検証する手順を身につけましょう。

OSI参照モデルは「下3層は物理的通信、上4層は論理的処理」というイメージで覚え、ネットワーク機器(リピータ→スイッチ→ルータ)アドレス(物理アドレス→IPアドレス)プロトコル(イーサネット→IP→TCP→HTTP)を階層順にセットで暗記すると、全試験の基礎問題が確実に解けるようになります。

例題・過去問演習

Q
【Q1】OSI基本参照モデルの各層で動作する中継装置(令和3年/基本情報技術者試験免除)
 OSI基本参照モデルにおいて、物理層で中継する装置、データリンク層で中継する装置、ネットワーク層で中継する装置の順に並べたものはどれか。
 ア)ブリッジ、リピータ、ルータ
 イ)ブリッジ、ルータ、リピータ
 ウ)リピータ、ブリッジ、ルータ
 エ)リピータ、ルータ、ブリッジ

正解:ウ

リピータは第1層(物理層)で電気信号を増幅する装置、ブリッジは第2層(データリンク層)でMACアドレスを使ってフレームを中継する装置、ルータは第3層(ネットワーク層)でIPアドレスを使ってパケットをルーティングする装置です。したがって「リピータ、ブリッジ、ルータ」の順が正解となります。ひっかけポイントは、各装置の名前は知っていても「どの層で動作するか」を正確に覚えていないと解けない点です。「下の層から順に並べる」という問題形式も頻出なので、物理層→データリンク層→ネットワーク層という順序を意識しましょう。

Q
【Q2】ルータの機能に関する問題(令和4年/基本情報技術者試験)
 ルータの機能に関する記述として、適切なものはどれか。
 ア)MACアドレスを基にしてフレームを中継する
 イ)OSI基本参照モデルの物理層で、信号を増幅して伝送距離を延長する
 ウ)OSI基本参照モデルのトランスポート層からアプリケーション層までの階層で、プロトコル変換を行う
 エ)伝送媒体やアクセス制御方式の異なるネットワークの接続が可能であり、送信データのIPアドレスを識別してデータの転送経路を決定する

正解:エ

ルータはOSI基本参照モデルの第3層(ネットワーク層)で動作し、IPアドレスを使って異なるネットワーク間でデータを転送する装置です。伝送媒体(有線・無線など)やアクセス制御方式が異なるネットワーク同士でも接続可能です。ひっかけポイントは、選択肢アの「MACアドレスを基にフレームを中継」はスイッチやブリッジ(第2層)の説明であり、選択肢ウの「トランスポート層以上でプロトコル変換」はゲートウェイの説明である点です。ルータは「IPアドレス」「ルーティング(経路選択)」がキーワードです。

Q
【Q3】ネットワーク層で動作するセキュリティプロトコル(平成29年春期/情報セキュリティマネジメント試験)
 OSI基本参照モデルのネットワーク層で動作し、認証ヘッダー(AH)と暗号ペイロード(ESP)の二つのプロトコルを含むものはどれか。
 ア)IPsec
 イ)S/MIME
 ウ)SSH
 エ)XML暗号

正解:ア

IPsecはOSI基本参照モデルのネットワーク層(第3層)で動作するセキュリティプロトコルで、AH(認証ヘッダー)とESP(暗号ペイロード)という2つのプロトコルで構成されています。VPN(仮想プライベートネットワーク)の構築によく使われます。ひっかけポイントは、S/MIME(電子メールの暗号化)、SSH(リモート接続の暗号化)、XML暗号も暗号化技術ですが、これらはネットワーク層ではなく上位層で動作する点です。「ネットワーク層+暗号化=IPsec」と覚えましょう。

Q
【Q4】トランスポート層に位置するプロトコル(令和5年春期/応用情報技術者試験)
 IPネットワークのプロトコルのうち、OSI基本参照モデルのトランスポート層に位置するものはどれか。
 ア)HTTP
 イ)ICMP
 ウ)SMTP
 エ)UDP

正解:エ

UDP(User Datagram Protocol)は、OSI基本参照モデルの第4層(トランスポート層)で動作するプロトコルです。TCPと並ぶトランスポート層の代表的プロトコルで、コネクションレス型の通信を提供します。ひっかけポイントは、HTTPとSMTPはアプリケーション層(第7層)、ICMPはネットワーク層(第3層)のプロトコルである点です。「トランスポート層=TCP/UDP」という対応を確実に覚えることが重要で、これは基本情報・応用情報の頻出パターンです。

Q
【Q5】アプリケーション層の下位にある通信プロトコル(令和5年/ITパスポート試験)
 インターネット上のコンピュータでは、Webや電子メールなど様々なアプリケーションが動作し、それぞれに対応したアプリケーション層の通信プロトコルが使われている。これらの通信プロトコルの下位にあり、基本的な通信機能を実現するものとして共通に使われる通信プロトコルはどれか。
 ア)FTP
 イ)POP
 ウ)SMTP
 エ)TCP/IP

正解:エ

TCP/IPは、インターネット通信の基盤となるプロトコル群で、OSI参照モデルのトランスポート層(TCP)とネットワーク層(IP)に対応します。すべてのアプリケーション層プロトコル(HTTP、FTP、SMTPなど)の下位で動作し、基本的な通信機能を提供しています。ひっかけポイントは、選択肢ア・イ・ウのFTP、POP、SMTPはすべてアプリケーション層のプロトコルであり、「下位にある」という問題文の条件に合わない点です。ITパスポートレベルでは「TCP/IPが基盤」という理解が重要です。

OSI参照モデルの関連用語

TCP/IPモデル

TCP/IPモデルは、現在のインターネット通信で実際に使われている通信モデルです。OSI参照モデルが7層に分かれているのに対し、TCP/IPモデルは4層で構成されています。

OSI参照モデルは「理論的な標準」として存在する一方、TCP/IPモデルは「インターネット技術の実装から生まれた実践的なモデル」です。IT資格の試験では両者の違いを理解することが重要であり、TCP/IPモデルの4層は「リンク層」「インターネット層」「トランスポート層」「アプリケーション層」です。

項目OSI参照モデルTCP/IPモデル
層の数7層4層
特徴理論的で教育的実践的でインターネットに基づく
実際の使用教育・標準化用現在のインターネット通信で使用
物理層の扱い詳細に分類シンプルに統合

プロトコル

プロトコルとは、コンピュータ同士が通信するための決まりごとやルールのことです。OSI参照モデルの各層には異なるプロトコルが存在し、各層の役割を実現するために働いています。

例えば、第7層のアプリケーション層ではHTTPやSMTPなどのプロトコルが動作し、第3層のネットワーク層ではIPプロトコルが動作します。プロトコルはOSI参照モデルの各層に「当てはめられるもの」であり、プロトコルを学ぶことで、OSI参照モデルの抽象的な概念が具体的に理解できます。

試験では「このプロトコルはOSI参照モデルのどの層で動作するか」という問題がよく出題されるため、主要なプロトコルとそれが属する層の対応を覚えることが重要です。

ルータ

ルータはネットワーク機器の一種であり、OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)で動作します。異なるネットワーク同士をつなぎ、IPアドレスを使ってデータパケットを最適なルート(経路)で目的地まで転送する役割を担っています。

「ルータは第3層で動作する」という関係を覚えることは、試験対策として重要です。なぜなら「第3層 = ネットワーク層 = IPアドレスを使った通信」という階層的な理解が、より複雑な問題に対応する基礎になるからです。

ルータと混同しやすいスイッチは第2層(データリンク層)で動作し、MACアドレスを使ってローカルネットワーク内でのデータ転送を行います。この違いを正確に理解することが、ネットワーク関連の問題を解く際の重要なポイントです。

イーサネット

イーサネットは、ローカルエリアネットワーク(LAN)で最も広く使われている通信技術です。OSI参照モデルの第1層(物理層)と第2層(データリンク層)で動作します。

第1層ではネットワークケーブルの仕様や信号の伝送方法を定義し、第2層ではMACアドレスを使ったデータ転送を定義しています。イーサネットは現代のネットワークの基盤技術であり、IT資格の試験でも頻出の用語です。

イーサネットを学ぶことで、物理層と第2層がどのように連携して通信を実現しているのか、具体的に理解できます。また、イーサネットフレームという「単位」の概念を通じて、各層でデータがどのように処理されるのかをイメージできるようになります。

まとめ

このセクションで、OSI参照モデルについて理解すべき重要なポイントをまとめます。

  • OSI参照モデルは、ネットワーク通信を7つの層に分けて説明する国際標準モデルである。
  • 下の層ほど物理的、上の層ほど論理的・抽象的になる。
  • 第7層(アプリケーション層):ユーザーが使うソフトウェアが動作する層。
  • 第6層(プレゼンテーション層):データ形式の変換・加工を行う層。
  • 第5層(セッション層):通信の開始と終了を管理する層。
  • 第4層(トランスポート層):確実なデータ配送を保証する層(TCP/UDP)。
  • 第3層(ネットワーク層):ルーティングによってIPアドレスベースでデータを転送する層。
  • 第2層(データリンク層):MACアドレスを使ってローカルネットワーク内でデータを転送する層。
  • 第1層(物理層):電気信号や無線電波としてデータを送受信する層。
  • 各層が独立しているため、特定の層だけを改善・更新することが可能である。
  • ネットワークのトラブルシューティングでは、問題がどの層で起きているかを特定することが重要である。
  • 現在のインターネットではTCP/IPモデル(4層)が使われているが、OSI参照モデル(7層)は学習と標準化の観点で重要である。

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会社の研修でpythonを勉強し始めました。
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