【基本情報技術者試験】RAIDの仕組みと種類を完全解説!試験対策のポイントも紹介
データの安全性と可用性は、現代のIT基盤において最も重要な要素の一つです。
基本情報技術者試験では、データ管理の重要な技術としてRAIDがたびたび出題されます。
この記事では、RAIDの基本的な概念から、各RAIDレベルの特徴、試験での出題ポイントまで、初心者にもわかりやすく解説していきます。
RAIDとは
RAIDは「Redundant Array of Independent Disks(レダンダント・アレイ・オブ・インディペンデント・ディスクス)」の略で、複数のハードディスクを組み合わせて1つのディスクのように扱う技術です。当初は大容量ディスクのコスト削減を目的として開発されましたが、現在では以下の目的で広く利用されています。
RAIDの主な目的
- 可用性向上: 1台のハードディスクに障害が発生しても、システム全体を停止することなく運用を継続できます。ビジネスの継続性を確保する上で重要な機能です。
- 信頼性向上: データを冗長化することで、ハードディスク故障によるデータ消失のリスクを大幅に低減できます。重要なデータを扱うシステムには必須の機能といえます。
- 性能向上: 複数のハードディスクに並行してデータを読み書きすることで、システム全体のパフォーマンスを向上させることができます。
主要なRAIDレベルと特徴
RAID 0(ストライピング)
- 仕組み: データを複数のハードディスクに分散して書き込みます
- メリット:
- 読み書きの速度が大幅に向上
- ハードディスクの容量を100%使用可能
- デメリット:
- 冗長性がないため、1台のハードディスクの故障で全データが失われる
- 構成するハードディスクが増えるほど故障リスクが上昇
RAID 1(ミラーリング)
- 仕組み: 同じデータを2台のハードディスクに書き込みます
- メリット:
- 高い可用性と信頼性
- 1台の故障でもデータを保持可能
- デメリット:
- 容量効率が50%と低い
- 書き込み速度の低下
RAID 5(パリティ分散)
- 仕組み: データとパリティ情報を複数のディスクに分散して配置
- メリット:
- 1台の故障でもデータを復元可能
- RAID 0とRAID 1の利点を組み合わせた方式
- デメリット:
- パリティ計算による書き込み速度の低下
- 使用可能容量がディスク全体の約2/3に
RAID 6(複数パリティ分散)
- 仕組み: 2つのパリティを異なるディスクに保存
- メリット:
- 2台同時の故障でもデータを保護可能
- 最も高い信頼性
- デメリット:
- パリティ計算による大幅な書き込み速度の低下
- 容量効率の低下
RAIDの実装方式
RAIDの実装には、主に以下の2つの方式があります:
ソフトウェアRAID
- OSの機能を使用してRAIDを構成
- 導入コストが低い
- CPUの負荷が高くなる
ハードウェアRAID
- 専用のRAIDコントローラを使用
- システムへの負荷が少ない
- 導入コストが高い
重要な技術用語
パリティ
データの誤り検出に使用される符号です。RAID 5やRAID 6では、パリティ情報を利用してデータの復元を行います。パリティチェックには、垂直パリティと水平パリティがあります。
ストライピング
データを複数のハードディスクに分散して書き込む技術です。主にRAID 0で採用されており、読み書き性能の向上に貢献します。
RAID崩壊
RAIDを構成するドライブの故障やエラーにより、RAIDの機能が正常に動作しなくなる状態を指します。定期的なバックアップが重要です。
基本情報技術者試験の出題ポイント
頻出分野
- RAIDの基本概念と目的
- 各RAIDレベルの特徴とメリット・デメリット
- パリティやストライピングなどの技術用語
- RAIDレベルごとの信頼性と性能の違い
出題傾向
- RAIDレベルの特徴を問う問題
- 使用可能容量の計算問題
- 耐障害性の比較問題
練習問題
問題1
あるシステムでRAID 5を構成するために4台のハードディスク(各2TB)を使用する場合、利用可能な総容量は何TBになりますか?
a) 2TB
b) 4TB
c) 6TB
d) 8TB
問題2
次のうち、最も読み込み性能が高いRAIDレベルはどれですか?
a) RAID 0
b) RAID 1
c) RAID 5
d) RAID 6
問題3
RAID 1の説明として正しいものを選んでください。
a) データを複数のディスクに分散し、読み出しを高速化する
b) 同じデータを複数のディスクに書き込み、耐障害性を高める
c) データとパリティ情報を分散して保存する
d) 2つのパリティ情報を使用して高い信頼性を確保する
問題4
RAID崩壊を防ぐための対策として適切でないものはどれですか?
a) 定期的なバックアップの実施
b) ディスクの健康状態の監視
c) RAIDレベルを頻繁に変更する
d) ホットスペアディスクの準備
解答と解説
問題1の解答: c) 6TB
解説: RAID 5では1台分のディスク容量がパリティ情報に使用されます。そのため、4台構成の場合は3台分の容量が使用可能となり、2TB × 3 = 6TBとなります。
問題2の解答: a) RAID 0
解説: RAID 0はストライピングによりデータを分散して読み書きを行うため、単純な読み込み性能は最も高くなります。ただし、信頼性は最も低いことに注意が必要です。
問題3の解答: b) 同じデータを複数のディスクに書き込み、耐障害性を高める
解説: RAID 1はミラーリング方式を採用しており、同一データを複数のディスクに書き込むことで信頼性を確保します。
問題4の解答: c) RAIDレベルを頻繁に変更する
解説: RAIDレベルの変更は、データの再構築が必要となり、その過程でRAID崩壊のリスクが高まります。RAIDレベルは、システムの要件に応じて慎重に選択し、むやみに変更すべきではありません。
まとめ
RAIDは現代のIT基盤において重要な役割を果たす技術です。基本情報技術者試験では、各RAIDレベルの特徴やメリット・デメリットを理解することが求められます。特にRAID 0、RAID 1、RAID 5は頻出の範囲となりますので、しっかりと理解を深めておきましょう。また、実際のシステム設計においては、要件に応じて適切なRAIDレベルを選択することが重要です。
データの可用性、信頼性、性能のバランスを考慮しながら、最適なRAID構成を選択できる知識を身につけることは、IT技術者として重要なスキルの一つです。