【基本情報技術者試験】システム構成方式の特徴と選び方|合格に必要な知識を完全解説

oufmoui

システム構成方式は、基本情報技術者試験の頻出分野の一つです。

本記事では、システムを構成する要素(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど)の組み合わせ方や、信頼性を高めるための冗長化の方式など、試験に出題される重要な内容を初心者にもわかりやすく解説します。

システム構成方式の基礎知識を学び、試験合格に向けて効率的に学習を進めましょう。

システム構成方式の基礎

システム構成方式とは

システム構成方式は、コンピュータシステムを構成する要素をどのように組み合わせ、連携させるかを定めた方式です。システムの目的、規模、性能要件、予算などを考慮して、最適な構成方式を選択することが重要です。試験では、各構成方式の特徴や長所・短所を理解し、適切な方式を選択できる知識が問われます。

代表的なシステム構成方式の特徴

集中型システム

集中型システムは、すべての処理を1台のホストコンピュータで実行する方式です。

主に以下のような特徴があります。

  • すべての処理を1台のホストコンピュータで一元管理
  • セキュリティ管理が容易で、一貫性の高い運用が可能
  • 銀行の勘定系システムなど、大量のトランザクション処理が必要なケースで採用
  • 端末の追加や処理の増加に伴いホストコンピュータの負荷が増大する可能性がある
  • システム全体の性能がホストコンピュータの性能に依存する

分散型システム

分散型システムは、複数のコンピュータをネットワークで接続し、処理を分担する方式です。

以下のような特徴があります。

  • 複数のコンピュータで処理を分散して実行
  • 企業内の部門ごとにサーバを設置するなど、業務単位での構築が可能
  • ホストコンピュータの負荷分散により、システム全体の信頼性が向上
  • 各部門のニーズに応じた柔軟なシステム構築が可能
  • ネットワーク障害がシステム全体に影響を与える可能性がある
  • 複数のシステムを管理する必要があり、セキュリティ管理が複雑

クライアントサーバシステム

クライアントサーバシステムは、クライアント(端末)とサーバで役割を分担する方式です。

特徴は以下の通りです。

  • サーバはデータ管理や業務処理を担当
  • クライアントはデータ入力や画面表示を担当
  • Webサイトやオンラインゲームなど、多くのシステムで採用
  • 柔軟性が高く、システムの拡張が容易
  • クライアントの追加が比較的容易
  • サーバの性能がシステム全体のパフォーマンスに大きく影響
  • ネットワーク障害時にサービスが停止するリスクがある

クラスタシステム

クラスタシステムは、複数のコンピュータを連携させて1台のコンピュータのように動作させる方式です。

以下のような特徴があります。

  • 複数のコンピュータを緊密に連携させて運用
  • 高い可用性と処理能力を実現
  • 24時間365日の稼働が求められるWebサービスやデータベースシステムで採用
  • 1台のコンピュータに障害が発生しても、他のコンピュータが処理を継続
  • システム構成が複雑で、導入・運用コストが高い
  • 専門的な知識と技術が必要

システムの信頼性を高める構成方式

デュアルシステムとデュプレックスシステム

デュアルシステムとデュプレックスシステムは、システムの信頼性を高めるための代表的な構成方式です。

デュアルシステム

  • 同じ処理を行う2つのシステムを並列に稼働
  • 一方のシステムに障害が発生しても、もう一方で処理を継続
  • 大規模なシステムで採用されることが多い
  • 導入コストは高いが、高い信頼性を確保可能

デュプレックスシステム

  • 1台のコンピュータに2つのCPUやメモリを搭載
  • ハードウェアの二重化により信頼性を向上
  • デュアルシステムより小規模なシステムで採用
  • 比較的低コストで冗長化を実現

スタンバイ方式

スタンバイ方式には、ホットスタンバイとコールドスタンバイの2種類があります。

ホットスタンバイ

  • 待機系システムを常に稼働状態で待機
  • 現用系と待機系でデータをリアルタイムに同期
  • 障害発生時に即座に切り替え可能
  • 運用コストは高いが、システム停止時間を最小限に抑制

コールドスタンバイ

  • 待機系システムを停止状態で待機
  • 障害発生時に待機系を起動して切り替え
  • 切り替えに時間を要するが、運用コストを抑制可能
  • 短時間の停止が許容される業務向け

その他の信頼性向上方式

ロードシェアシステム

  • 複数のコンピュータで処理を分担
  • 負荷分散によりシステム全体の処理能力を向上
  • 障害発生時は他のコンピュータが処理を引き継ぎ
  • スケーラビリティと可用性を両立

シンプレックスシステム

  • 最もシンプルな構成(単一システム)
  • 冗長化されていないため、障害時はシステム停止
  • 導入・運用コストは低い
  • 信頼性よりもコストが重視される場合に採用

稼働率の計算と評価

システムの稼働率

稼働率は、システムが正常に動作している時間の割合を表す重要な指標です。基本情報技術者試験では、稼働率の計算に関する問題が頻出します。

稼働率を向上させるための対策

  • 冗長化:重要な機器を複数台用意
  • 予防保守:定期的な点検や部品交換
  • バックアップ:データの定期的なバックアップと復旧手順の整備

稼働率の計算方法

直列接続の場合
  • システム全体の稼働率 = 各機器の稼働率の積
  • 例:稼働率0.9の機器が2台直列の場合
  • 計算:0.9 × 0.9 = 0.81
並列接続の場合
  • システム全体の稼働率 = 1 -(1 – 各機器の稼働率)の積
  • 例:稼働率0.9の機器が2台並列の場合
  • 計算:1 – (1 – 0.9) × (1 – 0.9) = 0.99
複合構成の場合
  • 並列部分と直列部分を段階的に計算
  • 例:並列接続された機器A,Bと、直列接続された機器Cの場合
  • まず並列部分(A,B)の稼働率を計算
  • 次に直列部分(C)との積を計算

複合システムの稼働率計算

直列と並列の組み合わせ

複合的なシステム構成の稼働率は、以下の手順で計算します。

  1. 並列接続部分の稼働率を計算
  2. 直列接続部分の稼働率を計算
  3. 上記の結果を掛け合わせる

計算例(複合構成)

以下のような構成の場合、

     ┌───┐
  ───┤ A ├───┐
     └───┘   │
              ▼
     ┌───┐   │
  ───┤ B ├───┤
     └───┘   │
              ▼
          ┌───┐
  ────────┤ C ├───
          └───┘

機器A、B、Cの稼働率がそれぞれ0.9の場合、

  1. 並列部分(A-B)の稼働率 = 1 – (1 – 0.9) × (1 – 0.9) = 0.99
  2. 直列部分(C)との組み合わせ = 0.99 × 0.9 = 0.891

実践的な計算例

一般的なシステム構成として、サーバ、クライアント、プリンタ、LANで構成されるシステムを考えてみましょう。

装置稼働率
サーバa
クライアントb
プリンタc
LAN1

これらの装置が独立して動作し、LANを介して接続されている場合、システム全体の稼働率は、

このように、実際のシステムでは複数の要素が組み合わさっているため、それぞれの接続形態を考慮した稼働率の計算が必要となります。基本情報技術者試験では、このような複合的な構成の稼働率計算が出題されることがあります。

クラウドコンピューティングとオンプレミス

クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングは、インターネットを通じてコンピュータリソースをサービスとして利用する形態です。基本情報技術者試験では、クラウドの種類や特徴について理解しておく必要があります。

クラウドサービスの種類

SaaS(Software as a Service)
  • ソフトウェアをサービスとして提供
  • Gmailなどのメールサービス
  • オンラインストレージサービス
  • 業務用アプリケーション
PaaS(Platform as a Service)
  • 開発・実行環境をサービスとして提供
  • アプリケーション開発プラットフォーム
  • データベース環境
  • Webアプリケーションの実行環境
IaaS(Infrastructure as a Service)
  • ITインフラをサービスとして提供
  • 仮想サーバ
  • ストレージ
  • ネットワーク機能
クラウドのメリット
  • 初期投資を抑制可能
  • 必要な時に必要なだけ利用可能
  • メンテナンスの手間を削減
  • 場所を選ばず利用可能
  • スケーラビリティが高い

オンプレミスシステム

オンプレミスは、自社で機器を保有してシステムを構築・運用する従来型の形態です。

オンプレミスの特徴

  • 自社でのシステム管理が可能
  • セキュリティレベルを独自に設定可能
  • カスタマイズの自由度が高い
  • 安定した運用が可能
  • 初期投資が必要
  • 運用・保守の負担が大きい

基本情報技術者試験対策のポイント

試験での出題傾向

システム構成方式に関する問題は、以下のような形式で出題されることが多いです:

システム要件に基づく最適な構成方式の選択

  • システムの目的や規模
  • 性能要件や信頼性要件
  • 予算や運用体制

稼働率計算に関する問題

  • 直列接続と並列接続
  • 複合構成の稼働率
  • 信頼性設計

システムの信頼性向上策

  • 冗長化方式の選択
  • バックアップ方式
  • 障害対策

重要な学習ポイント

各構成方式の特徴の比較

  • メリット・デメリットの理解
  • 適用場面の把握
  • コストと性能のバランス

稼働率計算の基本

  • 計算式の暗記と理解
  • 構成図の読み取り
  • 複合的な計算問題への対応

用語の正確な理解

  • 専門用語の定義
  • 類似概念の区別
  • 最新技術動向の把握

練習問題

Q
クライアントサーバシステムにおいて、サーバが担当する処理として最も適切なものはどれか。

a) データの表示
b) ユーザインターフェース制御
c) データベース管理
d) キーボード入力処理

正解:c
解説:サーバは主にデータベース管理、業務処理の実行、データの一元管理などを担当します。データの表示やユーザインターフェース制御、キーボード入力処理などは、クライアント側で行われる処理です。試験では、クライアントとサーバの役割分担について正確に理解していることが求められます。

Q
システムの稼働率が0.9の機器A、Bを並列に接続した場合の稼働率はいくらか。

a) 0.81
b) 0.90
c) 0.95
d) 0.99

正解:d
解説:並列接続の場合、稼働率は「1 – (1 – 各機器の稼働率)の積」で計算します。計算手順は以下の通りです:
1. 1 – (1 – 0.9) × (1 – 0.9)
2. 1 – 0.1 × 0.1
3. 1 – 0.01
4. 0.99

Q
以下の記述のうち、ホットスタンバイ方式の特徴として正しいものはどれか。

a) 待機系システムは停止状態で待機する
b) 切り替え時間が長い
c) コストが低い
d) データをリアルタイムに同期している

正解:d
解説:ホットスタンバイ方式では、待機系システムを稼働状態で維持し、現用系とデータをリアルタイムに同期しています。これにより、障害発生時に即座に切り替えが可能です。ただし、常に2つのシステムを稼働させる必要があるため、コストは高くなります。これは、コールドスタンバイ方式との大きな違いの一つです。

まとめ

システム構成方式は、基本情報技術者試験において重要な分野です。本記事で解説した以下の内容をしっかりと理解し、試験対策に活かしましょう。

  1. 代表的なシステム構成方式(集中型、分散型、クライアントサーバ、クラスタ)の特徴と適用場面
  2. システムの信頼性を高めるための各種方式(デュアル、デュプレックス、スタンバイなど)の違い
  3. 稼働率の計算方法と評価方法
  4. クラウドコンピューティングとオンプレミスの特徴と選択基準

特に、練習問題で取り上げたような設問形式は頻出ですので、確実に得点できるように準備することが重要です。また、近年のIT技術の進歩に伴い、クラウドコンピューティングやマイクロサービスアーキテクチャなど、新しいシステム構成方式も登場しています。基本的な知識を身につけた上で、最新の技術動向にも注目していくことをお勧めします。

基本情報技術者試験では、システム構成方式に関する知識を実践的な場面で活用できることが求められます。本記事で学んだ内容を基に、さまざまな問題演習に取り組み、理解を深めていきましょう。

ABOUT ME
まけまけ
まけまけ
フルスタックエンジニア
会社の研修でpythonを勉強し始めました。
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