【初心者向け】TCP/IPモデルとは?OSI参照モデルとの違いも分かりやすく徹底解説(IT資格対策)
IT関連の勉強をしていて、『TCP/IP モデル』という言葉に出会い、『いまいちピンとこない……』と頭を悩ませていませんか?
試験では単なる用語の暗記だけではなく、その仕組みや活用シーンが問われます。せっかく勉強するなら、試験に受かるだけでなく、仕事でも役立つ『一生モノの知識』として身につけたいですよね。
この記事では、TCP/IP モデルの本質を、例を交えながら解説します。難しい理屈を徹底的に噛み砕き、専門用語を使わずにその正体を解き明かします。
肩の力を抜いて、気楽に読み進めましょう。この記事を読み終える頃には、小難しい専門用語がスッと頭に入り、自信を持って問題に挑めるようになっているはずです。試験合格のその先を見据えた『使える知識』を、分かりやすくお届けします。
| 用語 | TCP/IP モデル(TCP/IP階層モデル) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 正式名称 | TCP/IP階層モデル(TCP/IP Hierarchical Model) | ||||||
| 日本語訳 | - | ||||||
| 定義 | インターネットなどのコンピュータネットワークで標準的に利用されている、ネットワークインタフェース層・インターネット層・トランスポート層・アプリケーション層の4つの階層からなるネットワークアーキテクチャです。 | ||||||
| 試験別出題 | |||||||
| IT | ◎ | SG | ◯ | FE | ◎ | AP | ◎ |
| カテゴリ | ネットワーク | ||||||
| 関連用語 | OSI参照モデル / TCP / UDP / IP / HTTP / SMTP / FTP / DNS | ||||||
TCP/IPモデルとは
TCP/IPモデルは、インターネットでコンピュータ同士がデータをやり取りするための「通信ルール」を定めた設計図です。データを送ったり受け取ったりするときに、複雑な処理を4つの層に分けて、それぞれが役割を担当することで、スムーズで効率的な通信を実現しています。
実は、このモデルはインターネットの世界で最も広く使われている標準的なモデルです。メールを送ったり、ウェブサイトを閲覧したり、動画をストリーミングしたりするとき、すべてこのTCP/IPモデルに基づいた通信が行われています。
TCP/IPモデルの全体像
TCP/IPモデルの特徴は、通信機能を4つの層に分類することです。上から順に「アプリケーション層」「トランスポート層」「インターネット層」「ネットワークインターフェース層」という4段階で構成されています。
各層には、その層独有の役割があり、その役割を果たすための専門的な通信方式(プロトコル)が定義されています。
| 層の番号 | 層の名前 | 主な役割 | 主なプロトコル |
|---|---|---|---|
| 第4層 | アプリケーション層 | ユーザーが使うアプリとネットワークの橋渡し | HTTP、SMTP、DNS、FTP |
| 第3層 | トランスポート層 | データを正確に相手に届ける通信管理 | TCP、UDP |
| 第2層 | インターネット層 | 宛先まで最適な経路を決定 | IP、ICMP、ARP |
| 第1層 | ネットワークインターフェース層 | 実際にデータを電気信号に変えて送受信 | Ethernet、Wi-Fi |
各層の詳しい役割
ネットワークインターフェース層(第1層)
この層は、最も下位に位置し、物理的な通信手段に直接関わる領域です。データを電気信号や電波に変換して、ケーブルやWi-Fiなどの通信媒体を通して、コンピュータ間でデータをやり取りしています。
具体的には、Ethernetケーブルで接続されたパソコンや、Wi-Fiで接続されたスマートフォンなど、同じ部屋や同じオフィス内のようなローカルエリアネットワーク(LAN)内でのデータ送受信を担当します。この層では、MACアドレスという機器を識別する情報を使用して、「この機器から、あの機器へ」というデータの流れを制御します。
簡単に言い換えると、この層は「実際に物をやり取りする運送会社」のような役割を果たしています。
インターネット層(第2層)
インターネット層では、データを送る相手の住所にあたるIPアドレスを見て、どのルートを通ってデータを送るかを決定します。世界中のコンピュータは膨大な数存在し、それらすべてが直接つながっているわけではありません。そのため、データが目的地に到達するまでに、複数のルーター(ネットワーク交差点を管理する機器)を経由する必要があります。
この層では、ルーターが活躍し、「次にこのデータをどのルーターに送ればいいか」という判断を何度も繰り返すことで、最終的に目的地にデータを届けます。
簡単に言い換えると、この層は「ナビゲーションシステム(カーナビ)」のような役割です。複雑な道路網の中で、最適なルートを判断して、目的地までたどり着くように案内します。
この層で使われる主なプロトコルは、以下の通りです。
| プロトコル | 役割 |
|---|---|
| IP(Internet Protocol) | IPアドレスを使ってデータの送信先を指定する |
| ICMP | ネットワークが正常に動作しているか、つまりデータが無事に届いたかを確認する(pingコマンドなど) |
| ARP | IPアドレスから実際の機器の識別番号(MACアドレス)を調べて、より詳細な経路を決定する |
トランスポート層(第3層)
トランスポート層は、データを正確に相手に届けることを保証する層です。アプリケーション層から受け取った大きなデータは、そのままでは送信しにくいため、この層で適切なサイズに分割されます。また、受け取る側がバラバラに届いたデータを正しい順序で並べられるように、それぞれのデータに番号が付けられます。
さらに、受け取った側が「ちゃんとデータを受け取りましたよ」という確認信号を返すことで、送信する側は安心してデータを送ることができます。
簡単に言い換えると、この層は「郵便局の仕分けと配送管理」のような役割です。大量の手紙を運びやすいサイズごとに仕分けし、追跡番号をつけて、きちんと相手に届けることを保証します。
この層で使われる主なプロトコルは、以下の通りです。
| プロトコル | 特徴 |
|---|---|
| TCP(Transmission Control Protocol) | データが確実に、正しい順序で相手に届くことを保証する。時間がかかっても確実さを重視 |
| UDP(User Datagram Protocol) | 確実さより速度を重視する。ライブ配信や通話など、リアルタイム性が大切なアプリに使われる |
アプリケーション層(第4層)
アプリケーション層は、ユーザーが直接使うアプリケーション(メールソフト、ウェブブラウザ、ファイル転送ソフトなど)とネットワークの橋渡しをする層です。ユーザーがメールを送ったり、ウェブページを見たり、ファイルをダウンロードしたりするときに実行される、すべての通信処理がこの層で管理されています。
メールを送るときは、複数のメールサーバーを経由して送信先に届く必要があります。ウェブページを見るときは、リクエストを送ってサーバーからデータを受け取ります。このような各アプリケーション独自の処理が、この層で定義されています。
簡単に言い換えると、この層は「受付窓口」です。ユーザーからのリクエストを受け取り、それを下の層へ渡して処理を進め、結果をユーザーへ返します。
この層で使われる主なプロトコルは、以下のようなものがあります。
| プロトコル | 役割 |
|---|---|
| HTTP(HyperText Transfer Protocol) | ウェブサイトを表示するときに使う。ウェブブラウザとウェブサーバーの間で通信 |
| HTTPS | HTTPをより安全にしたもの。個人情報やクレジットカード情報など、機密情報を送るときに使う |
| SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) | メールを送信するときに使う |
| POP3/IMAP | メールを受信するときに使う |
| DNS(Domain Name System) | 「example.com」のようなドメイン名を、「192.0.2.1」のようなIPアドレスに変換する |
| FTP(File Transfer Protocol) | コンピュータ間でファイルを転送する |
TCP/IPモデルとOSI参照モデルの違い
ネットワークについて学んでいると「OSI参照モデル」という言葉も目にすることがあります。これはTCP/IPモデルと類似していますが、いくつかの違いがあります。
| 比較項目 | TCP/IPモデル | OSI参照モデル |
|---|---|---|
| 層の数 | 4層 | 7層 |
| 成り立ち | 実際のインターネット通信プロトコルをベースに構築された実践的モデル | 国際標準化機構(ISO)が理論的に定義した標準設計図 |
| 使用場面 | 実際のネットワーク設計・運用・トラブルシューティング | 教育、理解、プロトコル設計の指針 |
| 特徴 | シンプルで実務向き。現代のインターネットのほぼすべてに使われている | より細かく分類。ネットワークの概念理解に役立つ |
OSI参照モデルは理論的な標準モデルであり、教科書的です。一方、TCP/IPモデルは実際に動いているインターネットの仕組みに合わせて作られているため、より現実的で実用的です。現在のネットワーク業界では、TCP/IPモデルを中心に考えることが一般的です。
実際の通信の流れ
ここまで各層について学びました。では、実際にウェブページにアクセスするとき、TCP/IPモデルの各層がどのように協力するのか、流れを見てみましょう。
ユーザーがウェブブラウザでURLを入力して、「表示」ボタンを押したとき。
1。アプリケーション層で、ブラウザが「このウェブサイトを見たい」というリクエストを作成します。このとき、使われるプロトコルはHTTPです。
2。トランスポート層で、大量のデータを小分けにして、それぞれに順番号をつけます。TCPが使われることが多いため、各データには「このデータは全体の何番目か」という情報が追加されます。
3。インターネット層で、「相手のコンピュータのIPアドレスはどこか」という情報を追加します。IPプロトコルが使われ、宛先と送信元のIPアドレスが含まれます。
4。ネットワークインターフェース層で、データが電気信号や電波に変換され、Wi-FiやEthernetを通じて、まずは近くのルーターに送られます。MACアドレスという情報も追加されます。
5。ルーターを経由しながら、インターネット上を複数の経路で目的のサーバーへ到達します。
6。受け取ったサーバー側でも、各層が逆の手順を実行します。ネットワークインターフェース層で電気信号をデータに戻し、その後、各層のヘッダ情報を読み込みながら、上へ上へとデータが進んでいき、最終的にサーバー内のアプリケーション層に到達します。
7。サーバーのアプリケーション層が「ウェブページを表示するリクエストだ」と理解し、要求されたウェブページのデータを作成します。
8。その後、同じ4層を経由して、ユーザーのコンピュータへ返送されます。
9。ユーザーのブラウザが最終的なデータを受け取り、ウェブページが表示されます。
このように、複雑な通信処理が4つの層に分割されることで、各段階で「自分の仕事」に集中できる仕組みになっています。また、ある層に問題が生じたとしても、その層だけを改善すれば良いため、ネットワークシステムの保守や改善が容易になります。
各層のデータ単位
各層ではデータに情報を付け足しながら下の層へ渡していきます。各層で付け足される情報を「ヘッダ」と呼びます。また、各層でのデータの呼び方も異なります。
| 層の名前 | データの呼び方 | ヘッダに含まれる主な情報 |
|---|---|---|
| アプリケーション層 | ストリーム(またはメッセージ) | アプリケーション固有の情報 |
| トランスポート層 | セグメント | ポート番号、シーケンス番号(データの順序) |
| インターネット層 | パケット | 送信元・宛先のIPアドレス |
| ネットワークインターフェース層 | フレーム | 送信元・宛先のMACアドレス |
この仕組みを「カプセリング」と呼び、上の層で作られたデータが、下の層を経由するたびに、必要な情報がどんどん追加されていく過程を指します。
TCP/IPモデルを学ぶメリット
TCP/IPモデルを理解することで、以下のようなメリットが生まれます。
ネットワークトラブルが発生したときに、「どの層に問題があるのか」を特定しやすくなります。例えば、「インターネットには接続しているがウェブページが表示されない」という症状であれば、アプリケーション層か、その下のトランスポート層に問題がある可能性が高まります。
複雑なネットワークシステムを学ぶときの基礎となります。TCP/IPモデルを理解していると、新しいプロトコルやネットワークシステムを学ぶときに、「それはどの層に関連しているのか」と、論理的に整理しながら理解を深められます。
ネットワークに関するIT資格試験(基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、CCNA、ITパスポートなど)で頻出の知識です。
TCP/IPモデルで誤解しやすいポイント
「TCP/IPモデル=4層」と「OSI参照モデル=7層」を同じものだと思ってしまう誤解
TCP/IPモデルとOSI参照モデルは、どちらもネットワーク通信を階層的に説明するフレームワークですが、全く異なるものです。TCP/IPモデルは4層、OSI参照モデルは7層という構造の違いだけではなく、成り立ちや役割も異なります。
OSI参照モデルは、ISO(国際標準化機構)が理論的に設計した「標準化のための教科書的なモデル」です。一方、TCP/IPモデルは、実際にインターネットで動作しているプロトコルの仕組みに基づいた「実務的で現実的なモデル」です。つまり、OSI参照モデルは「ネットワーク通信をどう理解・学ぶべきか」という教育的な観点から、TCP/IPモデルは「実際のインターネット通信はどう動いているのか」という実装の観点から設計されています。
試験では、「TCP/IPモデルとOSI参照モデルの違いを説明せよ」という問題が頻出です。単に「TCP/IPは4層、OSIは7層」と答えるだけでは不十分です。TCP/IPモデルのアプリケーション層が、OSI参照モデルのアプリケーション層・プレゼンテーション層・セッション層の3層をまとめたものであることを理解する必要があります。
「TCP/IPモデルの層の対応関係」を誤解している
TCP/IPモデルとOSI参照モデルの層を一対一で対応させていると、大きな間違いを犯します。実際の対応関係は以下の通りです。
| OSI参照モデル | 対応する役割 | TCP/IPモデル |
|---|---|---|
| 第7層:アプリケーション層 | ユーザーアプリが利用 | アプリケーション層 |
| 第6層:プレゼンテーション層 | データの形式変換・暗号化 | アプリケーション層(統合) |
| 第5層:セッション層 | 通信の開始・終了・管理 | アプリケーション層(統合) |
| 第4層:トランスポート層 | 信頼性・ポート管理 | トランスポート層 |
| 第3層:ネットワーク層 | ルーティング・IP管理 | インターネット層 |
| 第2層:データリンク層 | 同一ネットワーク内通信 | ネットワークインターフェース層(統合) |
| 第1層:物理層 | ケーブル・信号 | ネットワークインターフェース層(統合) |
TCP/IPモデルのアプリケーション層、トランスポート層、インターネット層は、OSI参照モデルの複数の層の機能を含んでいます。これを理解しないと、プロトコルの配置や機器の役割を誤解してしまいます。
「トランスポート層=TCP」だと思ってしまう誤解
TCP/IPモデルのトランスポート層は、TCPだけではなくUDPも含まれています。むしろ、TCPとUDPはどちらも同じトランスポート層で動作する異なるプロトコルです。
TCPは「接続型・信頼性重視」のプロトコルで、通信前に相手との接続を確立し、データが正確に到着することを保証します。一方、UDPは「非接続型・速度重視」のプロトコルで、事前接続なしにデータを送り、速度は優先しますが信頼性は保証しません。この違いは試験でよく問われます。
HTTPやHTTPSはTCPを使用しますが、DNSやNTPはUDPを使用します。つまり、同じアプリケーション層のプロトコルでも、使用するトランスポート層のプロトコルが異なるのです。この関係を理解していないと、試験で「このプロトコルはどの層で動作するのか」という問題に答えられません。
「ネットワークインターフェース層=ハードウェア」だと思ってしまう誤解
TCP/IPモデルのネットワークインターフェース層は、物理的なハードウェアだけではなく、OSI参照モデルの第1層(物理層)と第2層(データリンク層)の両方の機能を含んでいます。つまり、ケーブルやハブなどの物理的な機器だけでなく、Ethernetなどのデータリンク層のプロトコルも含まれています。
ハードウェアはあくまで通信を実現するための「道具」に過ぎず、ネットワークインターフェース層には、MACアドレスを使った同一ネットワーク内での通信制御も含まれています。例えば、スイッチはLANケーブルを接続するハードウェアですが、スイッチがMACアドレスを読み込んで正しいポートにデータを転送するのは、ネットワークインターフェース層のデータリンク層の機能です。
「IPアドレス=インターネット層」という理解が不完全である誤解
IPアドレスはインターネット層で使用される重要な概念ですが、インターネット層の全ての機能ではありません。インターネット層は、IPアドレスを使ったルーティング(経路選択)だけでなく、パケットの破損チェック、エラー検出、ネットワーク内での移動経路の最適化など、複数の機能を担当しています。
また、IPアドレスに関連する技術には、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、ARPなどがあり、これらすべてがインターネット層で協力して動作しています。単に「IPアドレスはIPプロトコルが使用する」という理解では不十分です。
「HTTP=アプリケーション層」という理解だけで満足してしまう誤解
HTTPはアプリケーション層のプロトコルですが、実際の通信では複数の層のプロトコルが協力して動作しています。HTTPはTCPを使用してトランスポート層で信頼性を確保し、IPを使用してインターネット層でルーティングを行い、Ethernetを使用してネットワークインターフェース層で物理的な転送を実現しています。
「ウェブページを見るときはHTTPが動作している」という理解は正しいですが、実は「HTTP+TCP+IP+Ethernetが協力して動作している」というのが正確です。試験では、このプロトコル間の関係性を問う問題が出題されます。
混同注意!TCP/IPモデルと間違いやすい用語
TCP/IPモデルと「TCP/IPプロトコル」の混同
TCP/IPモデルは「4つの層に分けたネットワーク通信の理論的な枠組み」です。一方、TCP/IPプロトコルは「TCPとIPという2つの具体的なプロトコルの総称」です。
TCP/IPモデルは、TCP、UDP、IP、ICMP、HTTP、FTP、SMTPなど、多くのプロトコルを包含する大きな枠組みです。ですから、「TCP/IPモデル=TCP+IP」ではなく、「TCP/IPモデルの中に、TCP、UDP、IP、ICMPなどのプロトコルが存在する」という理解が正しいです。試験の問題文をよく読み、「モデルについて問われているのか」「プロトコルについて問われているのか」を区別することが重要です。
「トランスポート層」と「トランスポート層のプロトコル」の混同
トランスポート層は、TCP/IPモデルにおける第3層で、「信頼性のある通信」や「ポート番号による通信の振り分け」などの役割を持つ層です。一方、トランスポート層のプロトコルは、TCPやUDPなど、その層で動作する具体的なプロトコルです。
試験では「トランスポート層で動作するプロトコルは何か」と問われることがあります。答えは「TCPとUDP」です。「トランスポート層」という層そのものではなく、その層で動作する具体的なプロトコルを答える必要があります。
「インターネット層」と「インターネット」の混同
TCP/IPモデルの「インターネット層」は、インターネットで使用される層という意味で名付けられました。しかし、インターネット層で動作するプロトコルは、ローカルエリアネットワーク(LAN)など、インターネット以外でも使用されています。
つまり、「インターネット層=インターネット上でのみ使用される層」ではなく、「TCP/IPの第2層であり、IPアドレスを使ったルーティングを行う層」というのが正確です。この理解がないと、「なぜLAN内でもIPアドレスを使うのか」という質問に答えられません。
「ネットワークインターフェース層」と「ネットワークインターフェースカード」の混同
TCP/IPモデルのネットワークインターフェース層は、コンピュータ内のネットワークインターフェースカード(NIC)だけを指す概念ではなく、OSI参照モデルの第1層と第2層の機能を統合した論理的な層です。
ネットワークインターフェースカードは、ネットワークインターフェース層を実装するための具体的なハードウェアに過ぎません。つまり、層は「通信機能の分類」であり、NIiは「その機能を実現するためのハードウェア」です。この違いを理解しないと、「物理層=ハードウェア」という誤解に陥り、ネットワーク通信の本質を理解できません。
「TCPとUDP」の選別誤解
TCPとUDPの違いは、試験で最も頻出の混同です。以下の表で、両者の特徴を整理します。
| 特徴 | TCP | UDP |
|---|---|---|
| 接続 | 接続型(3ウェイハンドシェイク) | 非接続型 |
| 信頼性 | 高い(再送処理あり) | 低い(再送処理なし) |
| 速度 | 遅い(オーバーヘッド多い) | 速い(オーバーヘッド少ない) |
| 順序保証 | あり | なし |
| 用途例 | HTTP、FTP、メール | DNS、NTP、動画配信 |
TCPは「どんなに時間がかかっても、正確にデータを届けたい場合」に使用されます。UDPは「多少のデータ損失があってもいいから、とにかく速く送りたい場合」に使用されます。試験では「このプロトコルはTCPとUDPのどちらを使用しているか」という問題が出題されます。
「HTTP」と「HTTPS」と「HTTP/3」の階層的な位置関係の混同
HTTP、HTTPS、HTTP/3は、すべてアプリケーション層のプロトコルですが、使用するトランスポート層のプロトコルが異なります。
HTTPやHTTPSは従来TCPを使用していますが、HTTP/3はUDPを使用します。つまり、「プロトコル名が似ているから同じトランスポート層を使用している」と推測するのは危険です。特にHTTP/3が登場したことで、「新しいHTTPはUDPを使用する」という理解が必要になりました。この違いを理解していないと、試験で「HTTP/3で使用されるトランスポート層のプロトコルは何か」という問題に答えられません。
「ルータが動作する層」と「スイッチが動作する層」の混同
TCP/IPモデルでは、ルータはインターネット層で、スイッチはネットワークインターフェース層で動作する機器とされています。これは、ルータがIPアドレスを使用してルーティングを行い、スイッチがMACアドレスを使用してフレームを転送することに基づいています。
しかし、現代のスイッチの中にはレイヤー3スイッチなど、複数の層で動作する機器も存在します。また、ルータも内部ではMACアドレスの処理を行っています。つまり、「ルータ=第3層」「スイッチ=第2層」という理解は、基本的な枠組みとしては正しいですが、実際のネットワーク機器はより複雑です。試験では、基本的な理解を前提としながらも、応用的な知識を問う問題が出題されることがあります。
TCP/IPモデルに関連する重要用語
OSI参照モデル
OSI参照モデルは、国際標準化機構(ISO)が定義した、ネットワーク通信を7つの層に分けたモデルです。TCP/IPモデルと最も混同されやすい用語です。TCP/IPモデルは実際のインターネット通信に基づいた4層構造ですが、OSI参照モデルは理論的な学習や標準化のための7層構造です。
試験では「TCP/IPモデルとOSI参照モデルの違いを説明せよ」という問題が出題されます。重要なポイントは、TCP/IPモデルのアプリケーション層がOSI参照モデルのアプリケーション層・プレゼンテーション層・セッション層の3つをまとめたものだということです。
| モデル | 層数 | 成り立ち | 用途 |
|---|---|---|---|
| TCP/IPモデル | 4層 | 実際のインターネット通信に基づく | 実務・運用 |
| OSI参照モデル | 7層 | 理論的に設計された標準化モデル | 教育・学習 |
TCP(Transmission Control Protocol)
TCPはトランスポート層で動作するプロトコルで、「通信前に相手との接続を確立し、データが正確に目的地に到達することを保証する」信頼性を重視した通信方式です。3ウェイハンドシェイクという仕組みで接続を確立します。
HTTP、HTTPS、FTP、SMTPなどのアプリケーション層のプロトコルはTCPを使用しています。データが確実に届くことが重要なウェブページ閲覧やメール送受信に適しています。試験では「TCPとUDPの違い」が頻出問題です。
UDP(User Datagram Protocol)
UDPはトランスポート層で動作するプロトコルで、TCPとは異なり「通信前の接続確立なしに、できるだけ速くデータを送ることを優先する」軽量な通信方式です。データの到着を保証しません。
DNS、DHCP、NTPなどはUDPを使用しており、リアルタイム性が重要な動画ストリーミングやオンライン会議でも使用されます。TCPよりもオーバーヘッドが少ないため、ネットワーク負荷が軽いのが特徴です。
| 特性 | TCP | UDP |
|---|---|---|
| 接続 | 接続確立あり | 接続確立なし |
| 信頼性 | 高い | 低い |
| 速度 | 遅い | 速い |
| 用途例 | ウェブ・メール | 動画・音声 |
IP(Internet Protocol)
IPはインターネット層で動作するプロトコルで、「IPアドレスを使用してデータの送信先を決定し、複数のネットワークを経由してルーティングする」役割を担当しています。
TCP/IPモデルの名前の由来の一つであり、最も基本的なプロトコルです。インターネット上のすべての通信はIPを使用しており、IPアドレスによってコンピュータを一意に識別します。試験では、IPアドレスの構造、サブネットマスク、ルーティングの仕組みなどが出題されます。
DNS(Domain Name System)
DNSはアプリケーション層で動作するプロトコルで、「example.comのようなドメイン名を、192.0.2.1のようなIPアドレスに変換する」名前解決機能を提供します。
ウェブブラウザでURLを入力したとき、実は裏側でDNSがドメイン名をIPアドレスに変換しています。UDPのポート53番を使用しており、速度が重要なため信頼性よりも速度を優先しています。試験では、DNSのキャッシング機能やDNSサーバーの階層構造が出題されることがあります。
| プロトコル | 動作層 | 使用トランスポート | 役割 |
|---|---|---|---|
| DNS | アプリケーション層 | UDP | ドメイン名をIPアドレスに変換 |
| DHCP | アプリケーション層 | UDP | IPアドレスを自動割り当て |
| HTTP | アプリケーション層 | TCP | ウェブコンテンツの転送 |
| SMTP | アプリケーション層 | TCP | メール送信 |
【試験別】出題ポイントと対策
各試験の出題傾向と対策について解説します。受験予定のタブを切り替えて確認しましょう。
ITパスポート試験の出題傾向と対策
ITパスポートでは、TCP/IPモデルの4つの層の名称と役割、およびOSI参照モデルとの違いが典型的な4択問題として出題されます。シラバスでは「TCP/IP階層モデルの各層の基本的な機能、各層の間の関係」が明記されており、ネットワークセクションで「ほぼ必ず出た」テーマとして記録されています。令和5年度の過去問では、通信プロトコルとアプリケーション層の関係を問う問題が確認されています。
「TCP/IPモデルの第○層に該当するプロトコルはどれか」という形式で、HTTP・TCP・IP・Ethernetなどのプロトコルを正しい層に分類させる問題が中心です。また、「TCP/IPは4層、OSIは7層」という基本構造の違いを問う問題も頻出です。
各層の代表的なプロトコルを暗記しましょう。アプリケーション層(HTTP・SMTP・DNS)、トランスポート層(TCP・UDP)、インターネット層(IP)、ネットワークインターフェース層(Ethernet)という対応関係を確実に押さえてください。OSI参照モデルとの比較では、TCP/IPのアプリケーション層がOSIの上位3層(第5〜7層)をまとめたものだと理解すれば、選択肢で迷いません。
情報セキュリティマネジメント試験の出題傾向と対策
情報セキュリティマネジメント試験では、TCP/IPモデルそのものよりも、各層におけるセキュリティリスクやポート番号を利用したアクセス制御が問われます。シラバスでは通信プロトコルの特性やポート番号の理解が求められており、実際の過去問では「トランスポート層のポート番号による通信の振り分け」や「ファイアウォールでの制御」が出題されています。OSI参照モデルとの対応関係も、セキュリティ機器の設置位置を判断する際の知識として必要です。
「ポート番号80番や443番を使用する通信を制御する設定」や「トランスポート層で動作するファイアウォールのルール設定」など、運用時のフィルタリング条件を問う問題が典型的です。各プロトコルが使用するポート番号と、それに対応するTCP/IPモデルの層を正確に理解しているかが試されます。
ウェルノウンポート番号(HTTP:80、HTTPS:443、SMTP:25、DNS:53)と、それぞれが使用するトランスポート層のプロトコル(TCPかUDPか)を確実に覚えましょう。ファイアウォールの設定問題では、「どの層でフィルタリングするか」が鍵になります。トランスポート層のポート番号でフィルタリングする場合と、アプリケーション層の内容まで検査する場合の違いを理解してください。
基本情報技術者試験の出題傾向と対策
基本情報技術者試験では、TCP/IPモデルとOSI参照モデルの対応関係を正確に理解しているかが重点的に問われます。シラバスでは「TCP/IPをOSI基本参照モデルの7階層と対比させながら、それぞれが果たす基本的な役割を理解する」と明記されており、過去問では「TCPおよびIPとOSI基本参照モデルの7階層との関係を適切に表しているものはどれか」という形式が頻出しています。各層の機能とプロトコルの組み合わせを正確に答えられることが求められます。
「TCPはOSI参照モデルの第4層(トランスポート層)」「IPは第3層(ネットワーク層)」という対応関係を、図表から選ばせる問題が典型的です。また、TCPとUDPの違い(接続型/非接続型、信頼性/速度重視)や、各プロトコルがどの層で動作するかを問う組み合わせ問題も頻出です。
TCP/IPモデルの4層とOSI参照モデルの7層を対応させた表を作成し、完全に暗記してください。特に重要なのは、TCP/IPのアプリケーション層=OSIの第5〜7層、TCP/IPのネットワークインターフェース層=OSIの第1〜2層という統合関係です。各層で動作する代表的なプロトコル(HTTP、TCP、IP、Ethernet)と、そのプロトコルの特徴(TCPは信頼性重視、UDPは速度重視など)をセットで覚えると、メリット・デメリットを問う問題にも対応できます。ネットワーク機器(ルータ、スイッチ)がどの層で動作するかも関連知識として押さえましょう。
応用情報技術者試験の出題傾向と対策
応用情報技術者試験では、午前問題で基本的な層の対応関係が問われるほか、午後問題のネットワーク分野でTCP/IPモデルの知識が前提として必要になります。シラバスでは「代表的なプロトコルであるTCP/IPがOSI基本参照モデルのどの階層の機能を実現しているか、その役割は何かを修得し、応用する」と明記されており、過去問の午後では「TCPコネクションの確立」「通信トレースログの解析」「ポート番号による通信の識別」など、実践的なシナリオでTCP/IPの仕組みが問われています。設計判断やトラブルシューティングの文脈で出題されます。
午後問題では、通信トレースログから送信元IP・送信先IP・ポート番号・TCPフラグ(SYN、ACK、FIN)を読み取り、「どの層で問題が発生しているか」を判断させる問題が典型的です。また、ファイアウォールのルール設計で「どの層のどの情報(IPアドレス/ポート番号/アプリケーション)でフィルタリングするか」という設計判断も問われます。
午前問題では、基本情報と同様にTCP/IPモデルとOSI参照モデルの対応関係を確実に押さえてください。午後問題では、TCPの3ウェイハンドシェイク(SYN → SYN/ACK → ACK)の流れと、各フラグの意味を理解することが必須です。
通信トレースを読む際は、「送信元/送信先のIPアドレス」でどの機器間の通信かを把握し、「ポート番号」でサービスを特定し、「TCPフラグ」で接続状態を判断する、という3段階の読解手順を身につけましょう。また、「インターネット層で問題が起きればルーティングやIPアドレス設定」「トランスポート層で問題が起きればポート番号やTCP/UDP設定」というように、層ごとに疑うべき原因を整理しておくと、午後の記述問題でスムーズに解答できます。
例題・過去問演習
- 【Q1】基本的な通信機能を実現するプロトコル(令和5年 ITパスポート試験 問68)
Webや電子メールなど様々なアプリケーションプログラムの通信プロトコルの下位にあり、基本的な通信機能を共通に実現するプロトコルはどれか。
ア)FTP
イ)POP
ウ)SMTP
エ)TCP/IP -
TCP/IPは、インターネットで使用される基本的な通信プロトコルの総称で、トランスポート層のTCPとインターネット層のIPを中心に構成されています。FTP、POP、SMTPはすべてアプリケーション層のプロトコルで、その下位にあるTCP/IPの上で動作しています。ひっかけポイントは「FTPやSMTPもTCP/IPに含まれるプロトコル」という知識から、これらを選んでしまうことです。問題文の「下位にあり」という言葉がヒントになります。
- 【Q2】TCP/IPとOSI参照モデルの対応関係(基本情報技術者試験 類題)
TCP/IPモデルとOSI参照モデルの対応関係について、正しいものはどれか。
ア)TCP/IPのアプリケーション層は、OSI参照モデルの第7層のみに対応する
イ)TCP/IPのトランスポート層は、OSI参照モデルの第3層に対応する
ウ)TCP/IPのインターネット層は、OSI参照モデルの第3層に対応する
エ)TCP/IPのネットワークインターフェース層は、OSI参照モデルの第2層のみに対応する -
TCP/IPのインターネット層は、OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)に対応し、IPアドレスを使用したルーティング機能を提供します。ひっかけポイントは、アの「アプリケーション層」で、実際にはOSI参照モデルの第5層~第7層(セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層)の3層をまとめたものです。また、エの「ネットワークインターフェース層」も、OSI参照モデルの第1層と第2層(物理層とデータリンク層)の両方を含んでいます。基本情報技術者試験では、この対応関係を正確に理解していることが求められます。
- 【Q3】ポート番号とトランスポート層(平成30年秋 情報セキュリティマネジメント試験 問46)
TCP/IPネットワークのトランスポート層におけるポート番号の説明として、適切なものはどれか。
ア)同一コンピュータ内で複数のアプリケーションが同時に通信するために使用される識別番号
イ)ネットワーク内でコンピュータを一意に識別するために使用される番号
ウ)パケットの経路選択に使用される優先度を示す番号
エ)物理的なネットワーク接続を識別するために使用される番号 -
ポート番号は、TCP/IPモデルのトランスポート層で使用され、同一コンピュータ内で複数のアプリケーション(ブラウザ、メールソフトなど)が同時に通信する際に、どのアプリケーション宛てのデータかを識別するための番号です。HTTPは80番、HTTPSは443番、SMTPは25番など、各サービスには固有のポート番号が割り当てられています。ひっかけポイントは、イの「コンピュータを一意に識別する番号」で、これはIPアドレスの説明です。情報セキュリティマネジメント試験では、ポート番号を使ったファイアウォールのフィルタリング設定に関する問題が頻出します。
- 【Q4】マルウェアとTCPポート番号80(平成31年春 情報セキュリティマネジメント試験 問19)
マルウェアがインターネット上の指令サーバと通信する際に、宛先ポートとしてTCPポート番号80を使用する理由として、適切なものはどれか。
ア)DNSのゾーン転送に使用されるため、ファイアウォールで許可されている可能性が高い
イ)HTTPSによるWebサイト閲覧に使用されるため、侵入検知システムで検知される可能性が低い
ウ)HTTPによるWebサイト閲覧に使用されるため、ファイアウォールで許可されている可能性が高い
エ)ドメイン名の名前解決に使用されるため、侵入検知システムで検知される可能性が低い -
TCPポート番号80は、HTTPによるWebサイト閲覧に使用されるため、ほとんどの組織でファイアウォールを通過する通信として許可されています。マルウェアはこの特性を悪用し、正規のHTTP通信に紛れて指令サーバと通信することで、ファイアウォールによるブロックを回避します。ひっかけポイントは、イの「HTTPSは443番」、アの「DNSゾーン転送は53番/TCP」、エの「DNS名前解決は53番/UDP」という知識を混同させる選択肢です。情報セキュリティマネジメント試験では、このようなポート番号とプロトコルの正確な対応関係が問われます。
- 【Q5】TCPコネクションとソケット(令和元年秋 応用情報技術者試験 午後問5改題)
Webサーバが同時に確立できるTCPコネクション数が128に制限されている場合、HTTP/1.1を使用する各ユーザーが平均4つのTCPコネクションを同時に使用するとき、同時にアクセスできる最大ユーザー数はどれか。
ア)32
イ)64
ウ)128
エ)512 -
TCPコネクションは、TCP/IPモデルのトランスポート層で確立される通信の論理的な接続で、送信元IPアドレス・送信元ポート番号・宛先IPアドレス・宛先ポート番号の4つの組み合わせ(ソケットペア)で識別されます。サーバのTCPコネクション数が128で、1ユーザーが4コネクション使用する場合、128÷4=32ユーザーが同時アクセス可能です。応用情報技術者試験の午後問題では、HTTP/2で1コネクションに改善した場合の最大ユーザー数(128ユーザー)を計算させるなど、性能改善の効果を問う問題が頻出します。ひっかけポイントは、「128コネクション」という数字をそのまま答えとして選んでしまうことです。
まとめ
TCP/IPモデルについて、このセクションで大切なポイントをまとめました。
- TCP/IPモデルは、インターネット通信を4つの層に分けた設計図であり、現代のネットワーク運用の基準となっている。
- 4つの層は、下から「ネットワークインターフェース層(物理送受信)」「インターネット層(経路決定)」「トランスポート層(正確な通信管理)」「アプリケーション層(ユーザーサービス提供)」と、それぞれ独立した役割を持つ。
- 各層は複数のプロトコルで構成されており、代表的なものとしてHTTP、TCP、IP、Ethernetなどが挙げられる。
- TCP/IPモデルはOSI参照モデルより層が少なく、実務面では標準とされている。
- データは上の層から下の層へ進むたびにヘッダ情報が追加され、受信時には逆方向で情報が削除される。
- ネットワークトラブルの診断や、ネットワーク技術の習得に不可欠な基礎知識である。

